この世界は、真夏でできている。
一晩が開け、私は昨晩やり忘れた課題を学校でやってしまうべく、
いつもより30分近く早く学校へ向かった。
昨日は、夢なのかと疑うような時間だった。
思い出しては、頬が緩んでまたニヤける。
ガラッ、と扉を開けると、そこには優介が自分の席で1人、
何か本を読んでいるようだった。
優介はその本をサッとしまい、「瑠夏!?」と驚いた声を上げる。
心做しか、本をしまう動作が、焦っているようにも見えた。
「お前、今日なんでこんな早いんだ?」
「昨日の算数の課題やり忘れちゃったんだよねー。
あっ、ちょうど良かった!優介見せてよ〜」
「絶対嫌だよ。教えてやるから今自力でやれ」
ちぇっ、と渋々自分の席にランドセルを置き、中から教科書とノートを取り出す。
優介の前の椅子に腰掛け、ちんぷんかんぷんな数字だらけの教科書を開いた。
優介は頭が良かった。
クラスで、どころか学年規模で考えても、その頭の良さは1位2位を争うほどだったと思う。
彼は中学もおそらく私立受験し、私たちと同じ中学へは進学しないだろう。
そんな彼の教える手順は非常にわかりやすく、
先程までまるっきりわからなかった数字の意味が、今では流れるように頭に入ってくる。
「わー、すっご、もっともっと時間かかると思ってたのに、
こんな10分で全部終わっちゃうなんて。」
さっすが〜とふざけて頭を撫でようとするが、やめろ、と彼に手を弾かれる。
いつもより30分近く早く学校へ向かった。
昨日は、夢なのかと疑うような時間だった。
思い出しては、頬が緩んでまたニヤける。
ガラッ、と扉を開けると、そこには優介が自分の席で1人、
何か本を読んでいるようだった。
優介はその本をサッとしまい、「瑠夏!?」と驚いた声を上げる。
心做しか、本をしまう動作が、焦っているようにも見えた。
「お前、今日なんでこんな早いんだ?」
「昨日の算数の課題やり忘れちゃったんだよねー。
あっ、ちょうど良かった!優介見せてよ〜」
「絶対嫌だよ。教えてやるから今自力でやれ」
ちぇっ、と渋々自分の席にランドセルを置き、中から教科書とノートを取り出す。
優介の前の椅子に腰掛け、ちんぷんかんぷんな数字だらけの教科書を開いた。
優介は頭が良かった。
クラスで、どころか学年規模で考えても、その頭の良さは1位2位を争うほどだったと思う。
彼は中学もおそらく私立受験し、私たちと同じ中学へは進学しないだろう。
そんな彼の教える手順は非常にわかりやすく、
先程までまるっきりわからなかった数字の意味が、今では流れるように頭に入ってくる。
「わー、すっご、もっともっと時間かかると思ってたのに、
こんな10分で全部終わっちゃうなんて。」
さっすが〜とふざけて頭を撫でようとするが、やめろ、と彼に手を弾かれる。