この世界は、真夏でできている。
少しだけアメリカを案内してもらい、その後は海へ向かった。

夕日が沈みかけていて、絶大な景色だった。

空が反射し、上にも下にも、空があるようだった。

以前はあんなにも、好きな空だった。

僕と彼女と似ている、この時間のこの色の空が。

僕は何よりも好きだった。

「優介」

ようやく、僕がここにきた意味を彼に話す。

永く、ふわふわしていて、現実味のない話だろう。

優介はとても信じ難い、と言った顔をしていた。

僕も…僕も同じ気持ちだ。

けど今もこうしてたまに出る鼻血や、髪のない、ふらつく頭が虚しくも実感させてくるのだ。
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