この世界は、真夏でできている。
そこに立っていたのは、彩絵だった。

「あんた、こんなとこで何してんの」

そうだ、この辺りは彼女の家の近所だった。というか、もちろん、瑠夏もあいつも、僕も。

「ていうか、あんたいつまで記憶ないままなの。早く戻ってきてよ。

瑠夏がどんな思いであんたのことずっと待ってるか…」

「彩絵」

「……えっ」

彼女は、久々に僕から名前を呼ばれ驚きを隠せないといった様子だった。
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