この世界は、真夏でできている。
❁⃘

家に着くなり僕は、母親のおかえり、という声に雑に返事をし、

自分の部屋の、
自分のベッドに飛び込んだ。

大きなため息が出る。

藍原 瑠夏(あいはら るか)は僕の幼なじみだ。

彼女に初めて出会ったのは小学2年生の時だった。

その頃の彼女は、よく泣いていた。

クラスで一人だけ給食を食べるのが遅くなってしまったときも、

学校で飼育していた兎が1匹死んでしまったときも、いつも泣いていた。

だから僕は彼女が嫌いだった。

いつも、泣くなと怒っていた。
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