この世界は、真夏でできている。
❁⃘
まだ夕方前であるこの道は、あまりにも太陽が強くて
私なんか簡単に影に追いやられてしまうようだった。
波の音が、心地よかった。
黒羽のバイト先であるカフェから歩くこの道は、空気が、匂いが、音が
汚い私をいつも癒してくれるようで、本当に好きだ。
…彼女が私に言った、「辛い思いをしない選択」とは、
過ぎ去ってしまったら、何も出来なくなってしまう、という事だろう。
彼女は3年前、初恋の人を失い、
伝えたくても二度と伝えることの出来ない存在となってしまった。
私はそれを、誰よりも知っている。
「瑠夏と、東希が両思いなの、知ってた」
そう、知っていた。
東希の訃報を聞いた時、藍原瑠夏がこの世から消えた。
私は、初めてそこで気づいた。
彼らは、両想いだった。
あの日、本当は気づいていたんだ。というか、きっと私だけじゃない。
まだ夕方前であるこの道は、あまりにも太陽が強くて
私なんか簡単に影に追いやられてしまうようだった。
波の音が、心地よかった。
黒羽のバイト先であるカフェから歩くこの道は、空気が、匂いが、音が
汚い私をいつも癒してくれるようで、本当に好きだ。
…彼女が私に言った、「辛い思いをしない選択」とは、
過ぎ去ってしまったら、何も出来なくなってしまう、という事だろう。
彼女は3年前、初恋の人を失い、
伝えたくても二度と伝えることの出来ない存在となってしまった。
私はそれを、誰よりも知っている。
「瑠夏と、東希が両思いなの、知ってた」
そう、知っていた。
東希の訃報を聞いた時、藍原瑠夏がこの世から消えた。
私は、初めてそこで気づいた。
彼らは、両想いだった。
あの日、本当は気づいていたんだ。というか、きっと私だけじゃない。