この世界は、真夏でできている。
だから僕はあいつが…あんまり好きじゃなかった。

だって、僕の方が彼女をよく知ってるはずなのに、

3年も前から片想いしていたのに。

ぱっと出の男に、心を丸ごと奪われているなんて。

それに彼は、なんでも出来た。

クラスだけじゃなくて学年全員と隔てなく仲が良かったし、

背は低いはずなのにバスケが得意だったし、

彼女を、いとも簡単に笑顔の花を咲かせてしまう。

僕にはないものをたくさん持っていたんだ。

だからそれが、悔しくて。
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