この世界は、真夏でできている。
僕とは違い首元が丸見えな彼女が、

白い息を小刻みに膨らませながら僕の方へと走ってくる。

そんな彼女の首元を見ていると、こっちまで首が冷えてくるような気がした。

しかし彼女は、走ってきたことから息切れしているが、寒さなんて何も気にしていないように、

暑ささえ感じるような真っ赤な頬で笑顔を作っていた。

「てか、昨日の電話なんなんだよ。」

「何って?」

「もっとほかに要件言えよ、時間と場所だけって。」

まぁまぁ、と謎に彼女は僕をあやし、急にまたはしゃぎ出した。

「来て!!」

彼女に手を引かれるまま、僕達は白い花びらたちに見届けられるように、

銀世界の中へと駆けて行った。
< 27 / 231 >

この作品をシェア

pagetop