この世界は、真夏でできている。
僕らが歩く道の足元がぼっ、と不気味な光に灯される。

体右半分に異常なまでの体重を感じ、僕は思うように動けなかった。

「ねぇ…出るかなぁ、出るかなぁ〜…,」

「そりゃ出るだろ。お化け屋敷なんだから。」

「えーっ、私お化け屋敷嫌いなんだよなぁ〜〜」
「なんで入ったんだよ。俺は好きだけど。」
「だから入ったの。」

挙げることもままならないほどがっしりと僕の腕を掴んだ彼女は、

ずっとその小さな肩を小刻みに震わせていた。

もしかして…、と僕はそこでようやく彼女が今日、

急に呼び出した理由の目星がつき始めていた。
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