この世界は、真夏でできている。
「やっぱり、知ってたんだ。…東希?」

彼女は小さく頷いた。

以前、本を読んでいる時に、東希に見つかったことがあった。

すぐに隠したけど、彼は引き下がらなかった。

僕が読んでいたのは、ただ語学の本じゃない、

アメリカ、ニューヨークの文化や生活の本だった。

なんでそんな本を読んでいるのか。

最近英単語の勉強をしているのはなぜか。

優介は、本当に私立に進学するのか。

全部とことん問い詰められ、彼に話した。

いずれはみんなにも伝えなければならないことだった。

「でも大丈夫だよっ!たかが国境線!!」

彼女はいつの間にか立ち上がり、得意げに腰に手を当て威勢を見せた。

「ねっ。」と彼女はまた、耳や鼻や、頬を真っ赤にして笑いかけた。

視界の端で、鮮やかな光の粒が、おそらく1番小さくなってきらきらと光っているのが見えた。

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