この世界は、真夏でできている。
「優介?」

ふわっ、と僕がつけていたマフラーが彼女の首元を包む。

「これ、俺が帰ってきた時に返して。」

「えっ。明日は?」

「ううん、帰ってきた時。多分、5年後とかになるけど。」

彼女はマフラーをぎゅっと掴んだ。

「わかった、約束する!」

僕らは5年の時を経てしまう前に、最後に__。


最後に、約束の指切りを交わした。
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