この世界は、真夏でできている。
第一章 12歳の冬霞
「おい瑠夏(るか)ー!」

学校内中に毎日毎日、嫌というほど耳にしている鐘の音が響き渡る。

今日の学校が終わりの合図だった。

その途端、わっ、と空気が和らぎ一気に騒がしくなった。

生徒や先生はさようなら、と挨拶を交わしている。

私も一人教室を飛び出し待ち合わせ場所へ向かっていると、

後ろから、聞き慣れた声がしてきた。

声の方を振り向くと、そこにはやっぱり、思った通りの顔があった。
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