この世界は、真夏でできている。
「うるせぇなぁ。」という黒羽に対し、「ごめんごめんって。」と謝る。

すぐ横を、誰かが、通った。

昔よく見た、顔だった。

私は長い長い時間に感じるその一瞬、

彼から目を離すことが出来なかった。

黒羽と彩絵は不思議そうに私を見つめているのがわかる。

だけど、あれは…。

あの人は、間違いなく、“彼”だった。

私は思わず、人目も気にせず、思いっきり叫んだ。


「優介!!」


心臓が、ばくばくと鼓動を鳴らす。
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