この世界は、真夏でできている。
振り向いた彼は、短かった前髪も背も、ぐんと伸びて、

大人っぽい風貌だったが、やっぱり間違いなく彼だった。

やっと会えた…。私はずっと、彼を待っていたのだ。

彼と会った最後の日。

長いようで短くて。一瞬だってあの約束を忘れたことはない。

大切な、大事な人だ。

「やっぱり!!優介だ!!」

私は彼の方へ走って近づく。

「帰ってきてたんだね。おかえり。」

心臓が飛び跳ねてしまいそうなほど嬉しかった。

あの日のまま止まった時間が、動き出す。

やっと、約束を果たせる___。

そう思い、リュックを肩から下ろそうとした瞬間だった。
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