この世界は、真夏でできている。
左手に持ったままだったスマートフォンの電源をつけ、画面を見る。

1時間目に入ろうとしてる時刻であり、今からでは走っても間に合わないだろうと、

私はゆっくり学校まで向かった。

未だに、現実か夢かが判別できずにいた。

だって、5年ぶりに…やっと現れたと思ったら一瞬で消えてったな。

あの場からもだけど、私たちの思い出からも。

彼は、あの約束も忘れてしまっているのか。

ジリジリと、太陽が鬱陶しい。

先程日焼け止めを塗ったが、それでも尚私の肌を焦がしているような気がしてならない。

なんだか急に、学校へ行くのが面倒くさくなった。

私は学校へ向かう道を変え、足先を真反対の方向へ向けた。

たまには学校サボって、散歩してみるのもいいかも、と思った。

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