この世界は、真夏でできている。
「優介、東希のこと、覚えてる?」

ずっと、昨日から聞きたかったことを聞くため、久々にこの名前を口にする。

優介は黙ったまま、私を見つめた。

そりゃ、そうだ。

「東希はね、私の」

「初恋の人」。

驚いて一瞬固まってしまった。

私の言葉と、優介の言葉が重なったのだ。

「えっ、覚えてるの…?」

いや、と優介は言葉を続けた。

「けど俺、そいつにあんまいいイメージ持ってなかった気がする」
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