この世界は、真夏でできている。
昔から、引っかかってたことだ。

もしかして、本当にもしかすると、彼は…。

優介は……。

「昔、私の事好きだった??」

彼は目をラムネ玉のようにまんまるにした。

一瞬流れる沈黙の中、相変わらずの蝉の合唱だけが私の耳に届く。

しかしすぐにその目は鋭利に変わり、

「自惚れんなよな。俺うるさいヤツ嫌いだし。

つかお前別にブスだし。」

「ちょっっっと!!また!ブスって言った!!?

てかそこまで言わなくていいでしょ?!」

思わずこの夏に似つかわしくない大声を当てつける。
優介はごめん、と渋った。

何はともあれ、どうやら優介に彼の話を聞くことは難しそうだ。

「なんで?」と優介が聞く。



「東希ね」

彼の名前を出したのには理由がある。


私は初恋の人の運命を、ただ、この一言で表すしか無かった。



「死んだの」
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