この世界は、真夏でできている。
優介は、慄然としていた。

無理もない。記憶にあるわけでもないのに、

いきなり見ず知らずの人の死を告げられているのだから。

幼い頃からずっと違和感を抱いていた。

私は東希しか見えてなかったが、

冷静になって今、考えてみれば

私の傍にいたのは東希ではなく、紛れもない、

今目の前にいる彼だった。

そして記憶を失ってしまったため最後となってしまった、

彼との約束を交わしたのだ。
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