この世界は、真夏でできている。
「あぁ、ちょっと言いたいことがあって。」

優介の横に並ぶと、後ろから伊勢がちょっとまってよ、と小走りでこちらに向かってくる。

「お宅は瑠夏の彼氏さんですか??」

「ちょっと伊勢、優介に絡まないでよ」

「絡んでるんじゃないよ確認だよ。」

「で?」と彼は下から優介の顔を覗き込んだ。

優介は明らかにイラッとした目をし、私の左腕をぐいっと掴んだ。

「だったら何?」

伊勢はアホみたいなきょとん面をかまして、えぇーっ、と唸り声を上げた。

「マジなのかよっ!」

そのまま優介は私の腕を掴んだまま、高校を後にした。
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