この世界は、真夏でできている。
結局見事に負けて、キャラメルポップコーンを貪りながらこの訳の分からない

青春ラブストーリー(泣ける)を見る羽目になった。

映画の終盤で、本当に周りからは鼻をすする音が聞こえて、

隣の瑠夏も信じられないほどどばどば涙を零していた。

良いんだか悪いんだか、彼女はどこまでも純粋だ。

シアターから出ても、彼女はまだ余韻で涙を流していた。

「お前、いい加減泣きやめよ、てか涙拭けよ」

「うえぇ、ハンカチ忘れた〜」

僕ははぁ、と呆れつつもハンカチで涙を擦り落とす。

「ありがと、あの時もこうやってハンカチ貸してくれたんだよ〜〜」

僕は彼女の方をから目を背け、「だったらハンカチ持ってこいよ」と零した。

彼女はへへっ、と笑った後、もう一度ありがとう、と告げた。
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