この世界は、真夏でできている。
次の日は瑠夏が昼から夜までバイトだと言ったので、

今日は会わずに明日会う約束をしている。

とりあえず家にいても暇なので、1人で本屋へ向かうことにした。

店内に入ると、額を伝った汗が一気に冷え込む。

小さな本屋で、店員もレジにお年寄りの男性が1人座っているだけだった。

沢山本を置いている訳では無いが、静かだし人が出入りすることがほとんどないので、

ゆっくり本を眺められる。

小説が置かれている棚を一通りズラっと眺め、お気に入りの作家の本をいくつか漁る。

ふと気になるタイトルの本を見つけた。

背表紙には、“僕が消したい記憶”と書かれている。
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