この世界は、真夏でできている。
今日訪れたのは隣の駅に位置するケーキビュフェのお店だ。

ここのビュッフェはリーズナブルな値段でケーキだけでなく、

サラダやパスタ、カレーなんかも食べ放題のうちに入るようだ。

彼女は皿に可愛いカップケーキや、濃厚そうなチーズケーキやガトーショコラなんかを盛ったのに対し、

僕が皿に盛ったのはパスタと彩り豊かなサラダだ。

「ねぇ、ここどこかわかってる??ケーキ食べ放題が売りの店なんだよ??

ケーキ食べに来たんだからね??」

「だって俺甘い物あんまり得意じゃないし。
パスタもサラダもこんなに盛ってんだからいいだろ」

「あのね、そういう問題じゃなくてさ」

文句を言う彼女に対して僕は、フルシカトでパスタを口に運んだ。

「ん、んまい。」

彼女も負けじとケーキを口に放り込む。

「ケーキうまっ!!」

「はい、あーん」と言い彼女は僕の口の前にケーキを差し出す。

間違いなく、紛れもなく、めちゃくちゃおちょくって来ている。

僕は露骨というほど露骨に嫌な表情を見せた。

「ごめんって。」
結局彼女はそのケーキも自分の口に放り込んだ。
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