この世界は、真夏でできている。
「てか、ここはなんの思い出なの?」

「初めて来た時にさ、2人ともお皿にいっっぱい盛りすぎて、

おえおえ言いながら食べてたの!無邪気で可愛かったよね〜あの頃」

「…お前絶対食べたかっただけだろ」

「そんなんじゃないよ。」

彼女は分かりやすく額に汗をうかべ、目を泳がせた。

間違いなく彼女が食べたいだけだった。

彼女は黙って僕の皿に盛られたパスタを眺めた。

「何?」

「パスタ1口ちょうだい。」
「自分で取り行けよ。」
「ケーキでお腹いっぱいなんだもん。」

そう言って彼女は結局、僕からパクったパスタの美味しさ故にか、パスタもよそいに向かった。
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