この世界は、真夏でできている。
「ここのおばちゃんが、すごく良くしてくれて…。

私たちにいっつもなにか1個おまけをくれるの。

いい時は高めの120円のアイス。悪い時は10円の1個グミ。」

彼女は2段目の棚の左端を撫で、誇りをはたいた。

「けどね、ここのおばあちゃんも、亡くなっちゃったんだ。

優介がアメリカに引っ越してすぐに」

言葉が詰まってしまった。

だから先程から彼女は、痛い表情をしていたのか。

「優介にすぐ電話かけて、泣いてたよ、あんた。
だって、ほんとにすごく良くしてくれたもん」
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