この世界は、真夏でできている。
僕らは結局この辺をぶらぶらして、彼女は野良猫の写真を撮ったり、たまにある小洒落たカフェを覗いたりして、

この小さな街を満喫しているようだった。

30分ほど歩いたところで、僕らは駄菓子屋を見つけたのだった。

思わずお互い視線を合わせ、小走りでそこへ向かう。

しかし、もう18時を回っているし、お店は閉まってしまったようだ。

「あらら。まぁ、もう子供たちからしたら帰る時間かぁ。」

踵を返し元来た道を戻ろうとすると、後ろから「おや」と声が聞こえてきた。

2人1緒に振り向くと、腰を丸くしたお婆さんが僕らの方を見つめていた。

「あんたたち、この辺の人じゃないね。」

「えっ、わかるんですか?」

「ここら辺の子供たちの顔はみんんな覚えてるよ」

子供たちって、僕達はもう高校生だけど、と僕は思ったが、言葉を抑え、

隣ですごい!とはしゃぐ彼女を見つめた。
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