この世界は、真夏でできている。
アイスの味はメロンソーダのようだ。

夕方でもまだ暑い気温に、ひんやりしたアイスが心地よかった。

「いい時は高めの120円のアイス。」

彼女がアイスを齧りながら、口を開いた。

流石に少しずつ、太陽が傾き始めている。

「1人ひとつ、120円のアイスをくれるんじゃなくて、

120円のこのアイスを、2人で分けて食べてた」

寂しそうな彼女の笑顔の理由には、おばあちゃんが亡くなってしまった事だけではないだろう。

本来であれば、僕と彼女の2人の記憶であったはずが、
今や彼女1人の思い出となってしまっている。

以前の僕は、彼女にどういう風に接していたのか、全く想像もつかなかった。

ほんの、少しだけ。

彼女との思い出のある、以前の自分を羨ましく思った。

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