この世界は、真夏でできている。
「あーあ、何年経っても私はお化けは無理だし、

優介の反応は面白くないね。」

「お化け屋敷、好きかも。面白い。」

「げーっ、ほんと、変わんない」

よしっ、と彼女はジェットコースターを指さし、

「次はあれ乗ろ!」と言った。

丁度降下するタイミングで、乗ってる人たちの悲鳴がこちらまで響いている。

ぶるっ、と体が震えた気がした。

「あ、怖いの??」と言う彼女に対し、僕は別に、と答える。

強がっている訳では無い。決して。

本当に全然、怖くないだけだ。


数十分後、僕は僕の記憶上で、出したことの無い悲鳴を上げることとなる。

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