この世界は、真夏でできている。
隣で高笑いする彼女の頭をぺしっ、と叩く。

「あてっ」と言う彼女は、乗っている最中もずっと高笑いで

それはそれは非常に楽しそうであった。

「昔に来た時はそう言えばジェットコースター乗らなかったんだ、

だから優介が苦手なの知らなかったからおもしろい」

それから僕らは時間をめいいっぱい使い、

色んな乗り物に乗らされては僕は悲鳴をあげ、

外に売られているワゴンでクレープやベビーカステラを購入し、

彼女が僕からクレープを横取りしてでっかくかじる。

……否定せずに率直に言えば、とにかく、楽しかった。

たぶん、こんなに笑ったのは久々だと思う。

これは恐らく、傍から見れば、世間一般で言えば、デートだ。

それを気づいた頃には、変に緊張してしまったせいで、

彼女の方を上手く見れなくなってしまった。



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