この世界は、真夏でできている。
「ごめんごめん〜!」と現れたのは、さっきの店員さんとは裏腹に、

眼鏡をかけた高身長の男の人だった。

いてっ、と自分の足を机の脚にぶつけていた。

「初めまして、店長の沢森です」

少々頼りなさそうではあるが、確かにすごく優しそうではあった。

それに、店長と言った風貌とは思えないほどの若さに驚いた。

「えっと、今年の春までアメリカにいたんだよね。
すごい、じゃあ英語ペラペラなの?」

「多少は…」

「うちはまぁまぁな観光地なのもあって、外国人のお客さん多いから、

君活躍できるかもね!」

彼はうーん、と履歴書を一通り見つめ、

「よし!採用で!」と放った。

あまりの突拍子の無さに、思わずえっ!?と声を漏らしてしまう。

「ん?」

「あっ、いや、もっと質問とかされるものだと思ってたので…」

「あぁ、うーん、そうだな…。あ、君タバコ吸う?

タバコはちょっと店内に喫煙所ないから、駅前の喫煙所で…」

「いや、僕未成年なんですって」

「あぁ、そっか、じゃあ特に問題ない!大丈夫!
さっそく次いつ来れるか聞いてもいい??」

とことん適当な面接で、どこか不安もありつつ、すぐにでも来れると伝えたら、

明後日から出勤を開始することになった。

面接が終わり、席を立つと、先程のお兄さんが僕に向かって微笑む。

男の自分でも少しときめいてしまったような気がするほど、

笑顔が眩しかった。
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