寵愛のいる旦那との結婚がようやく終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい
二十八
ナサの飲んでいたコーヒーカップが"ガシャン"と、カウンターテーブルの上で音を立てた。その音と声にミリアが厨房の奥から飛んで出てくる。
「ナサ? いきなり大きな声を上げてどうしたんだい? え、リーヤ?」
「こんにちはミリアさん」
「こんにちは、なんだ、リーヤか来ただけか驚いたぁ」
だけど、ミリアはわたしの後ろにいる騎士、リモーネ君に気が付き再び声を上げた。
「リーヤと中央区の騎士⁉︎ まさかリーヤ……あんた、中央区で何かやったのかい!」
「…………っ!」
わたしが出かけた先で何かやったかと、ナサとミリア、二人とも同じ反応をした。
「ミリアさんもナサも酷い、わたしは何もやっていません。この騎士は学園のときの同級生なんです」
「「えっ、同級生⁉︎」」
今度は二人の声がハモった。
リモーネ君ーー何故、ガレーン国出身の彼が遠く離れた、リルガルド国の学園に通っていたのかは知らない。伯爵家の事情かなにかな? リモーネがガレーン国出身だという事は当時、知らなかったわけだし。
(学園も卒業もしている、彼には彼の事情があるのだろう……わたしも本人が話さないのなら聞かない)
「へぇ、リーヤと三番隊の隊長は同級生なのか。そうなると……今年になって、若干二十歳でリモーネ様は隊長に就任したはずだから、オレよりも三つ下か」
チラリとナサはわたしを見た。
(……ナサの三つ下?)
「ナサ、二十三歳なの? もう少し歳上だと思っていたわ」
「そうか? 歳が上といえば、アサトとロカは二十七歳だな、カヤとリヤは確か十歳だ」
「みんな、歳がバラバラなのね」
「ああ、オレはガレーンより西に離れた、小さな獣人の村から出稼ぎで来てるけど、アサトとロカは元冒険者で、カヤとリヤは北区生まれだな」
「……住んでいるところも違う、知らなかった」
「リーヤがオレ達に聞かなかった、だけだろう?」
「……あ、」
そうだ、わたしは歳以外自分の事をみんなに話していないから、みんなの事も聞かない様にしいてたんだ。
「ほら、リーヤ、ナサと仲良く話すのもいいけど、騎士様にそろそろ座ってもらったら?」
あっ、リモーネ君が立ちっぱなしだった。
「リモーネ君、ごめん。好きな所に座って、コーヒーでいいかな?」
「ああ、頼む」
腰の剣を置き、リモーネはナサの一個開けたカウンターに座った、それにナサは少し嫌な顔をのぞかせた。前に騎士が苦手だと言っていたものね。
「リモーネ君、コーヒーにお砂糖とミルクはいる」
「いい、ブラックをお願いする」
「わかった、ナサはもう一杯飲む?」
「おう、砂糖二つとミルク多めで、よろしく」
「わかった」
自分も飲もうと厨房で、三人分のコーヒーを用意してると、カウンターからガサガサとパンが入った袋を漁る音が聞こえた。
「ナサ、わたしのパンを覗かないの」
「スゲェ、いい匂いがする」
わかる、袋を開けた途端に香る、香ばしいパンの香り。
(人気なパンばかり選んで買ってきたから、わたしも早く食べたい)
「食ってもいいか?」
「明日、気まぐれに使う食パン以外なら、どれか一つ、食べてもいいよ」
と、パンの受け皿をナサに渡す前に、ナサは豪快に袋をひっくり返した。
「ナサ? いきなり大きな声を上げてどうしたんだい? え、リーヤ?」
「こんにちはミリアさん」
「こんにちは、なんだ、リーヤか来ただけか驚いたぁ」
だけど、ミリアはわたしの後ろにいる騎士、リモーネ君に気が付き再び声を上げた。
「リーヤと中央区の騎士⁉︎ まさかリーヤ……あんた、中央区で何かやったのかい!」
「…………っ!」
わたしが出かけた先で何かやったかと、ナサとミリア、二人とも同じ反応をした。
「ミリアさんもナサも酷い、わたしは何もやっていません。この騎士は学園のときの同級生なんです」
「「えっ、同級生⁉︎」」
今度は二人の声がハモった。
リモーネ君ーー何故、ガレーン国出身の彼が遠く離れた、リルガルド国の学園に通っていたのかは知らない。伯爵家の事情かなにかな? リモーネがガレーン国出身だという事は当時、知らなかったわけだし。
(学園も卒業もしている、彼には彼の事情があるのだろう……わたしも本人が話さないのなら聞かない)
「へぇ、リーヤと三番隊の隊長は同級生なのか。そうなると……今年になって、若干二十歳でリモーネ様は隊長に就任したはずだから、オレよりも三つ下か」
チラリとナサはわたしを見た。
(……ナサの三つ下?)
「ナサ、二十三歳なの? もう少し歳上だと思っていたわ」
「そうか? 歳が上といえば、アサトとロカは二十七歳だな、カヤとリヤは確か十歳だ」
「みんな、歳がバラバラなのね」
「ああ、オレはガレーンより西に離れた、小さな獣人の村から出稼ぎで来てるけど、アサトとロカは元冒険者で、カヤとリヤは北区生まれだな」
「……住んでいるところも違う、知らなかった」
「リーヤがオレ達に聞かなかった、だけだろう?」
「……あ、」
そうだ、わたしは歳以外自分の事をみんなに話していないから、みんなの事も聞かない様にしいてたんだ。
「ほら、リーヤ、ナサと仲良く話すのもいいけど、騎士様にそろそろ座ってもらったら?」
あっ、リモーネ君が立ちっぱなしだった。
「リモーネ君、ごめん。好きな所に座って、コーヒーでいいかな?」
「ああ、頼む」
腰の剣を置き、リモーネはナサの一個開けたカウンターに座った、それにナサは少し嫌な顔をのぞかせた。前に騎士が苦手だと言っていたものね。
「リモーネ君、コーヒーにお砂糖とミルクはいる」
「いい、ブラックをお願いする」
「わかった、ナサはもう一杯飲む?」
「おう、砂糖二つとミルク多めで、よろしく」
「わかった」
自分も飲もうと厨房で、三人分のコーヒーを用意してると、カウンターからガサガサとパンが入った袋を漁る音が聞こえた。
「ナサ、わたしのパンを覗かないの」
「スゲェ、いい匂いがする」
わかる、袋を開けた途端に香る、香ばしいパンの香り。
(人気なパンばかり選んで買ってきたから、わたしも早く食べたい)
「食ってもいいか?」
「明日、気まぐれに使う食パン以外なら、どれか一つ、食べてもいいよ」
と、パンの受け皿をナサに渡す前に、ナサは豪快に袋をひっくり返した。