寵愛のいる旦那との結婚がようやく終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい
六十八
癒やしの木の光りはわたし達と、騎士達の傷を癒やした。強制召喚に使われた呪われた骨の回収は、皇太子殿下と騎士団に任せて、わたし達はミリア亭に引きあげた。
真夜中、北門でモンスター襲撃があったと聞いたミリアは店を開き、ご飯を作ってわたし達の帰りを待っていてくれた。
一緒に戦ったミカとリキも、ミリア亭に誘ったのだけど、二人は店があるからと帰って行った。
「クワァ、疲れた!」
「ほんと、疲れましたね」
「疲れたな……皇太子一行が現場に来なければ、もっと早く、大熊が片付いたぞ!」
「ナサの言う通りだ!」
「言う通りです!」
みんなは皇太子と騎士団への文句を言い終わると、ソファーとカウンターでぐったりした。
怪我をしたカヤとリヤは目覚めても、アサドに一言『よくやった、子供は大人しく寝てろ!』と言われて、タオルケットに包まり眠っている。
わたしは厨房で調理する、ミリアに声をかけた。
「ミリアさん、わたしもお手伝いします」
「いいよ、リーヤもみんなとモンスターと戦ってきたんだろう? しっかり体を休めな!」
「ミリアさん、ありがとう」
カウンター席に座る、ナサの隣に座った。
「お疲れさま、ナサ」
「リーヤもお疲れさん、怪我は治ったのか?」
「うん、ミカさんの癒やしの木のおかげで、傷痕も残らず治りました。ナサは?」
「オレはリーヤのヒールとミカの癒やしの木で治ったよ。でも、良かった。リーヤがオオカミに吹っ飛ばされたとき、生きた心地がしなかった」
「心配かけてごめんね、ナサ」
「まぁ、いきなり訪れたあいつらの所為っちゃ、せいだけど。リーヤも無理するなよ」
うんと頷き、二人で見つめあっていたところに、山盛りできたての肉巻きおにぎりがドカッと、カウンターと、アサトたちが座るテーブルの上に乗った。
『さぁ、できたよ。食べて』とミリアの合図に、お腹ペコペコな、わたしたちはごくりと喉を鳴らした。
「アサト、ロカ、ナサ、カヤ、リヤ、リーヤ、そして、ミカ、リキ、北区を守り、モンスターを倒してくれてありがとう。今日は店を休みにしてズーッと店は開けておくから、ゆっくり休んでいってちょうだい!」
「ありがとう、ミリア。いただきます」
アサトの合図で、
「「いただきます!」」
みんなで、できたての肉巻きおにぎりにかぶりついた。
「ンン、甘辛なタレがお肉に染みて美味しい。もう、何個でも食べれちゃう」
「シッシシ、ほっぺにご飯粒付いてるぞ」
ナサの大きな手が伸びてきて、わたしのほっぺのご飯粒を摘んで食べた。
「あ、ありがとう、ナサ」
「シッシシ照れるなよ、リーヤ」
そんなわたしたちをアサトとロカ、ミリアは微笑ましく見守ってくれていた。
+
カヤとリヤが起きたらおにぎりを支度するからと、一晩中厨房にいたミリアは空いているテーブル席で、仮眠を取り始めた。
「ごちそうさま」
「美味しかった、ごちそうさまでした」
アサトとロカは山盛り肉巻きおにぎりを食べ終わり、大欠伸をしてゴロンと横になる。
わたしとナサは二人、カウンターで話をしていた。
「ナサ、一つ聞いてもいい?」
「ん? なんだ?」
「ナサって肉弾戦が強いって言っていたけど、どうして、盾役をやっているの?」
わたしの質問にナサは最後の肉巻きおにぎりをパクッと、一口で食べてから、少し考えて話てくれた。
「オレの憧れる親父がやっていたからかな」
「ナサのお父さん? お父さんも盾役だったんだ」
「そそっ、もう…………亡くなっちまったけど、こことは違う国でみんなを守り盾役やっていたんだ。強く、カッコ良くてオレの憧れだ。シッシシ」
照れ臭そうに語るナサ。
お父さんが大好きだったんだ。
「素敵なお父さんだね」
「おお、オレの憧れの人だ! ……そうだ、オレの休みが何日か取れたらさ。リーヤをオレの生まれた所に連れて行き、お袋に合わせたい」
「ナサの生まれたところ? ぜひ、行きたいわ。ナサのお母さんに挨拶もしたいし、傷薬のお礼も言わないとね!」
「シッシシ、お袋も喜ぶよ。今年は忙しいから来年のラベンダーが咲く季節、初夏あたりに休みを取って行こう。ガレーン国から少し遠いから馬か馬車を借りてだな」
「馬か馬車? だったら、わたし、馬に乗れるわ」
「そっか、じゃー知り合いに馬を借りて行こう、約束だ」
「えぇ、約束ね」
二人でゆびきりをした。
真夜中、北門でモンスター襲撃があったと聞いたミリアは店を開き、ご飯を作ってわたし達の帰りを待っていてくれた。
一緒に戦ったミカとリキも、ミリア亭に誘ったのだけど、二人は店があるからと帰って行った。
「クワァ、疲れた!」
「ほんと、疲れましたね」
「疲れたな……皇太子一行が現場に来なければ、もっと早く、大熊が片付いたぞ!」
「ナサの言う通りだ!」
「言う通りです!」
みんなは皇太子と騎士団への文句を言い終わると、ソファーとカウンターでぐったりした。
怪我をしたカヤとリヤは目覚めても、アサドに一言『よくやった、子供は大人しく寝てろ!』と言われて、タオルケットに包まり眠っている。
わたしは厨房で調理する、ミリアに声をかけた。
「ミリアさん、わたしもお手伝いします」
「いいよ、リーヤもみんなとモンスターと戦ってきたんだろう? しっかり体を休めな!」
「ミリアさん、ありがとう」
カウンター席に座る、ナサの隣に座った。
「お疲れさま、ナサ」
「リーヤもお疲れさん、怪我は治ったのか?」
「うん、ミカさんの癒やしの木のおかげで、傷痕も残らず治りました。ナサは?」
「オレはリーヤのヒールとミカの癒やしの木で治ったよ。でも、良かった。リーヤがオオカミに吹っ飛ばされたとき、生きた心地がしなかった」
「心配かけてごめんね、ナサ」
「まぁ、いきなり訪れたあいつらの所為っちゃ、せいだけど。リーヤも無理するなよ」
うんと頷き、二人で見つめあっていたところに、山盛りできたての肉巻きおにぎりがドカッと、カウンターと、アサトたちが座るテーブルの上に乗った。
『さぁ、できたよ。食べて』とミリアの合図に、お腹ペコペコな、わたしたちはごくりと喉を鳴らした。
「アサト、ロカ、ナサ、カヤ、リヤ、リーヤ、そして、ミカ、リキ、北区を守り、モンスターを倒してくれてありがとう。今日は店を休みにしてズーッと店は開けておくから、ゆっくり休んでいってちょうだい!」
「ありがとう、ミリア。いただきます」
アサトの合図で、
「「いただきます!」」
みんなで、できたての肉巻きおにぎりにかぶりついた。
「ンン、甘辛なタレがお肉に染みて美味しい。もう、何個でも食べれちゃう」
「シッシシ、ほっぺにご飯粒付いてるぞ」
ナサの大きな手が伸びてきて、わたしのほっぺのご飯粒を摘んで食べた。
「あ、ありがとう、ナサ」
「シッシシ照れるなよ、リーヤ」
そんなわたしたちをアサトとロカ、ミリアは微笑ましく見守ってくれていた。
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カヤとリヤが起きたらおにぎりを支度するからと、一晩中厨房にいたミリアは空いているテーブル席で、仮眠を取り始めた。
「ごちそうさま」
「美味しかった、ごちそうさまでした」
アサトとロカは山盛り肉巻きおにぎりを食べ終わり、大欠伸をしてゴロンと横になる。
わたしとナサは二人、カウンターで話をしていた。
「ナサ、一つ聞いてもいい?」
「ん? なんだ?」
「ナサって肉弾戦が強いって言っていたけど、どうして、盾役をやっているの?」
わたしの質問にナサは最後の肉巻きおにぎりをパクッと、一口で食べてから、少し考えて話てくれた。
「オレの憧れる親父がやっていたからかな」
「ナサのお父さん? お父さんも盾役だったんだ」
「そそっ、もう…………亡くなっちまったけど、こことは違う国でみんなを守り盾役やっていたんだ。強く、カッコ良くてオレの憧れだ。シッシシ」
照れ臭そうに語るナサ。
お父さんが大好きだったんだ。
「素敵なお父さんだね」
「おお、オレの憧れの人だ! ……そうだ、オレの休みが何日か取れたらさ。リーヤをオレの生まれた所に連れて行き、お袋に合わせたい」
「ナサの生まれたところ? ぜひ、行きたいわ。ナサのお母さんに挨拶もしたいし、傷薬のお礼も言わないとね!」
「シッシシ、お袋も喜ぶよ。今年は忙しいから来年のラベンダーが咲く季節、初夏あたりに休みを取って行こう。ガレーン国から少し遠いから馬か馬車を借りてだな」
「馬か馬車? だったら、わたし、馬に乗れるわ」
「そっか、じゃー知り合いに馬を借りて行こう、約束だ」
「えぇ、約束ね」
二人でゆびきりをした。