寵愛のいる旦那との結婚がようやく終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい
八十二
次の日、ナサに届いたお母様からの手紙。
その手紙には舞踏会の日から国王祭が終わるまで、ユーシリンから、はじめて騎士団が派遣されるということ。それに合わせて、ナサの家族も来ることを知らされていなかったらしく、ナサは驚いていた。
『オレの家族も来るのか。リーヤに家族を紹介するな』
と言っていた。
今回の舞踏会は皇太子殿下の婚約者を決める大切な日。ガレーン国だけではなく周りの隣国からも多くの貴族が来るため、ユーシリンから獣人、亜人の騎士も呼ばれた。そのため、いつもは亜人が中央区に入れないよう、張られている結界が舞踏会から国王祭の期間は消えるとのこと。
本日ーー夕方から始まる舞踏会に向けて北区以外の王都へ門から、各国の貴族達が早朝からガレーン国に集まってきていた。そのなかにわたしの家族もガレーンに昼過ぎに無事に着いたと、カートラお兄様と弟のアトールは伝えにミリア亭を訪ねた。
みんなのお昼中。
ミリア亭にお兄様と弟君は大きな荷物を持って現れた。
「リイーヤ、ナサと結婚おめでとう!」
「リイーヤ姉さん、ナサさん、ご結婚おめでとうございます」
両親と二人から結婚祝いをもらった。開けてみると、なかにはお揃いの淡いブルーのドレスとタキシードが入っている。両親からの手紙には『これを着て今晩の舞踏会に来なさい』と書かれており『皇太子に二人の仲を見せびらかしなさい』とも書かれていた。
舞踏会が近づくにつれて皇太子、騎士団の面々は慌ただしくなったのだろう。二週間前に訪れたとき以来、ミリア亭には来ていないーーその代わりに密偵が、わたしを見ているのだけど。
(ナサに気にするな、オレたちの熱々ぶりを見せつけようぜと言われてから、気にしないようにしいてる。)
「嬉しい、ナサとお揃いのドレスとタキシードありがとう。……でも、舞踏会が開催される時間って、ナサは北門を警備する時間だけど、舞踏会に出られるの?」
カウンターでお肉ゴロゴロオムライスを食べるナサに聞く。ナサは口の中のものを食べ終わると、シッシシと笑った。
「この話は前から決まっていてな……今夜の警備はリキとミカがオレの代わりをしてくれるって。だから舞踏会でのリーヤのエスコートは任せろ……まあ、久しぶりの正装と大勢の人前に出るから、ガタガタ震えたらごめんな」
「え?」
ナサとお兄様はお会いしたあとから、手紙のやりとりをしていたらしい。
(知らなかった……そうよね、知らされていないのだもの)
でも、人嫌いのナサがわたしのために大勢の中をエスコートをする。耳がいいナサはどんな声でも聞こえてしまうし、たくさんの嫌味、嫌な瞳にさらされる。
ーーそれなのに、わたしのエスコートをしてくれる。
「ナサ、エスコートを引き受けてくれてありがとう。嫌なとき、辛いとき、怖いときはしっかり、わたしに言って。わたしがナサを守る。疲れたら会場の隅か、バルコニーにでるか、長いをせずに帰ってきましょう」
「ああ、頼りにしてるよ、奥さん」
「はい、頼りにしてください、旦那さん」
ナサの奥さん。まだ、ナサの仕事の帰りにうちに寄って、一緒にご飯を食べるくらいしか、新婚らしいことはできていないけど。
(すごく、幸せだわ)
「結婚してから、ナサとリーヤのなかは益々よくなったな。幸せそうでなにより!」
「姉さんが幸せで僕も嬉しい」
二人はランドル様と合流してガレーン国の騎士団への顔出しと、舞踏会の準備をすると今晩の宿へと戻っていった。
その手紙には舞踏会の日から国王祭が終わるまで、ユーシリンから、はじめて騎士団が派遣されるということ。それに合わせて、ナサの家族も来ることを知らされていなかったらしく、ナサは驚いていた。
『オレの家族も来るのか。リーヤに家族を紹介するな』
と言っていた。
今回の舞踏会は皇太子殿下の婚約者を決める大切な日。ガレーン国だけではなく周りの隣国からも多くの貴族が来るため、ユーシリンから獣人、亜人の騎士も呼ばれた。そのため、いつもは亜人が中央区に入れないよう、張られている結界が舞踏会から国王祭の期間は消えるとのこと。
本日ーー夕方から始まる舞踏会に向けて北区以外の王都へ門から、各国の貴族達が早朝からガレーン国に集まってきていた。そのなかにわたしの家族もガレーンに昼過ぎに無事に着いたと、カートラお兄様と弟のアトールは伝えにミリア亭を訪ねた。
みんなのお昼中。
ミリア亭にお兄様と弟君は大きな荷物を持って現れた。
「リイーヤ、ナサと結婚おめでとう!」
「リイーヤ姉さん、ナサさん、ご結婚おめでとうございます」
両親と二人から結婚祝いをもらった。開けてみると、なかにはお揃いの淡いブルーのドレスとタキシードが入っている。両親からの手紙には『これを着て今晩の舞踏会に来なさい』と書かれており『皇太子に二人の仲を見せびらかしなさい』とも書かれていた。
舞踏会が近づくにつれて皇太子、騎士団の面々は慌ただしくなったのだろう。二週間前に訪れたとき以来、ミリア亭には来ていないーーその代わりに密偵が、わたしを見ているのだけど。
(ナサに気にするな、オレたちの熱々ぶりを見せつけようぜと言われてから、気にしないようにしいてる。)
「嬉しい、ナサとお揃いのドレスとタキシードありがとう。……でも、舞踏会が開催される時間って、ナサは北門を警備する時間だけど、舞踏会に出られるの?」
カウンターでお肉ゴロゴロオムライスを食べるナサに聞く。ナサは口の中のものを食べ終わると、シッシシと笑った。
「この話は前から決まっていてな……今夜の警備はリキとミカがオレの代わりをしてくれるって。だから舞踏会でのリーヤのエスコートは任せろ……まあ、久しぶりの正装と大勢の人前に出るから、ガタガタ震えたらごめんな」
「え?」
ナサとお兄様はお会いしたあとから、手紙のやりとりをしていたらしい。
(知らなかった……そうよね、知らされていないのだもの)
でも、人嫌いのナサがわたしのために大勢の中をエスコートをする。耳がいいナサはどんな声でも聞こえてしまうし、たくさんの嫌味、嫌な瞳にさらされる。
ーーそれなのに、わたしのエスコートをしてくれる。
「ナサ、エスコートを引き受けてくれてありがとう。嫌なとき、辛いとき、怖いときはしっかり、わたしに言って。わたしがナサを守る。疲れたら会場の隅か、バルコニーにでるか、長いをせずに帰ってきましょう」
「ああ、頼りにしてるよ、奥さん」
「はい、頼りにしてください、旦那さん」
ナサの奥さん。まだ、ナサの仕事の帰りにうちに寄って、一緒にご飯を食べるくらいしか、新婚らしいことはできていないけど。
(すごく、幸せだわ)
「結婚してから、ナサとリーヤのなかは益々よくなったな。幸せそうでなにより!」
「姉さんが幸せで僕も嬉しい」
二人はランドル様と合流してガレーン国の騎士団への顔出しと、舞踏会の準備をすると今晩の宿へと戻っていった。