寵愛のいる旦那との結婚がようやく終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい
八十八
みんなの視線はナサのお父様が指差しした、先を見ると、ガサッと茂みに隠れる影があった。今隠れた人が召喚士なの? 違う強制召喚をされれば、この場で戦わなくてはならないと、緊張とゴクッと喉がなる。
「リーヤ、オレから離れるな」
「う、うん」
息をのみ、ジリジリと召喚士が隠れた茂みに近付くアサト、リキ、ナサ、わたし、後方でロカ、ミカは魔法を打つ構え。ナサのお兄様とわたしのお兄様、ランドル様、ユーシリン国の騎士にも緊張が走る。
『あ、いや、待ってくれぬか』
私たちを止める声、この緊張した場を崩したのはナサのお父様。
「親父、なぜ止める? そこに隠れた奴は何度もガレーン国を襲おうとした者だろう?」
ナサは何故、お父様が止めたのかわからないと、言った表情を浮かべた。それは周りのみんなも同じだ。
『そやつは人に連れて行かれた、自分の番を探している……ゆうに百年以上経つでいると言ったかな?』
「「「番を連れていかれただと!!」」」
この場にいるみんなはお父様の言葉に驚いているし、中には胸を抑える者もいた。アサトはギリッと歯を食いしばり、ナサも怖い表情を浮かべていた。
「なんて、ヒデェ事をする」
「番は自分の片割れと言ってもいい存在、それを連れていかれたのか……」
リキは刀を鞘にしまい、
「愛する者を奪われるとは……なんと、かなしい」
みんなは口々に悲しいと言った。
お兄様とランドルは周りの雰囲気に眉をひそめる。
わたしはナサと結婚したのだから、大体のことはわかっているつもりだけど……まだ、この言い方は慣れない。わたしとナサは番、唯一無二の存在を奪われたということ。
ナサがいなくなったらと思うだけで悲しくなり、そばにいるシャツを握ったら、大きな手で握られた。
『でてこい、いままで自分が侵した罪はあるが……皆に理由を言え、己の気持ちを伝えよ』
「はぁ、い……あ、あたし、ちゃんと、人に変幻できているかな? 変だったら、ごめんなさい」
茂みから打つよな瞳の下にクマ、ボサボサな黒髪で細身、ボロボロなワンピース着てた青白い女性が現れたのだけど、お尻に隠せていない立派な鱗状の尻尾があった。
近くにいたアサト、ナサ、リキは現れた彼女に圧倒されたのか、一歩、二歩後ろに下がる。ナサはいきなりわたしを抱きしめた。
「……リヤとカヤとは違う、立派な鱗状の尻尾だな」
「彼女は只者じゃない、力が違う」
「ヤベェ、戦ったらオレ達は負けるぞ!」
お父様はウンウン頷き。
『そうだろうな。いまは数々の召喚術と変幻の術で力を削り、人の格好をしているが、北の土地を守る守護竜の片割れだ』
「「「北を守る守護竜!!!」」」
ちょっと待って、守護竜って、書庫の本とかでしか読んだことがない伝説の竜だわ。
「リーヤ、オレから離れるな」
「う、うん」
息をのみ、ジリジリと召喚士が隠れた茂みに近付くアサト、リキ、ナサ、わたし、後方でロカ、ミカは魔法を打つ構え。ナサのお兄様とわたしのお兄様、ランドル様、ユーシリン国の騎士にも緊張が走る。
『あ、いや、待ってくれぬか』
私たちを止める声、この緊張した場を崩したのはナサのお父様。
「親父、なぜ止める? そこに隠れた奴は何度もガレーン国を襲おうとした者だろう?」
ナサは何故、お父様が止めたのかわからないと、言った表情を浮かべた。それは周りのみんなも同じだ。
『そやつは人に連れて行かれた、自分の番を探している……ゆうに百年以上経つでいると言ったかな?』
「「「番を連れていかれただと!!」」」
この場にいるみんなはお父様の言葉に驚いているし、中には胸を抑える者もいた。アサトはギリッと歯を食いしばり、ナサも怖い表情を浮かべていた。
「なんて、ヒデェ事をする」
「番は自分の片割れと言ってもいい存在、それを連れていかれたのか……」
リキは刀を鞘にしまい、
「愛する者を奪われるとは……なんと、かなしい」
みんなは口々に悲しいと言った。
お兄様とランドルは周りの雰囲気に眉をひそめる。
わたしはナサと結婚したのだから、大体のことはわかっているつもりだけど……まだ、この言い方は慣れない。わたしとナサは番、唯一無二の存在を奪われたということ。
ナサがいなくなったらと思うだけで悲しくなり、そばにいるシャツを握ったら、大きな手で握られた。
『でてこい、いままで自分が侵した罪はあるが……皆に理由を言え、己の気持ちを伝えよ』
「はぁ、い……あ、あたし、ちゃんと、人に変幻できているかな? 変だったら、ごめんなさい」
茂みから打つよな瞳の下にクマ、ボサボサな黒髪で細身、ボロボロなワンピース着てた青白い女性が現れたのだけど、お尻に隠せていない立派な鱗状の尻尾があった。
近くにいたアサト、ナサ、リキは現れた彼女に圧倒されたのか、一歩、二歩後ろに下がる。ナサはいきなりわたしを抱きしめた。
「……リヤとカヤとは違う、立派な鱗状の尻尾だな」
「彼女は只者じゃない、力が違う」
「ヤベェ、戦ったらオレ達は負けるぞ!」
お父様はウンウン頷き。
『そうだろうな。いまは数々の召喚術と変幻の術で力を削り、人の格好をしているが、北の土地を守る守護竜の片割れだ』
「「「北を守る守護竜!!!」」」
ちょっと待って、守護竜って、書庫の本とかでしか読んだことがない伝説の竜だわ。