今宵、幾億の星の下で
その夜。
何度めの拓馬と過ごす夜だろう。

二人はベッドで一緒に眠っていた。

拓馬は別荘にいるときは指輪を必ず外しており、その指輪を玲は見たことがある。

内側にアルファベットで『K.TAKUMA』と刻印されている。
妻の指輪も同じだろう。

「玲……」

寝ぼけているのか裸の拓馬がもそもそと玲を抱き込み、再び寝息をたてはじめる。

「……もう」

微笑し拓馬の腕をそっと外すとシーツを躰に巻き、窓辺に歩み寄ると夜空を見上げる。

恋人だった男と別れた日に拓馬に抱かれ、不倫とわかっていながら別れられていない。

(わかっているのに)


自分が立ち直れたのは拓馬のおかげだ。


(あの社長と、できてたんだろう……)


航大の声が脳裏に流れる。

「……そうね。そうだったら幸せだったのかもね」

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