今宵、幾億の星の下で
「『宝石会社社長、焼死。放火殺人か?』」

という衝撃的なニュースは、しばらく世間をざわつかせた。

勝倉拓馬取締役社長の別荘から、背格好が拓馬に似た男性の焼死体が発見されたのだ。

遺体は完全に焼け焦げており、DNA検査も不可能なほどだったという。

左薬指には結婚指輪をしており、指輪には『K.TAKUMA』の文字が確認された。

山荘には大量のガソリンタンクが置かれており、簡単な次元発火装置が作られていたこともわかった。


園芸店にも刑事が訪れ、玲はアリバイを調べられ事情聴取をうけた。


「勝倉拓馬さんのスマートフォンも焼けてしまいましたが、サーバー上のログファイル、通話記録に、あなたの名前が見受けられました。関係を教えてください」


玲は包み隠さずに話した。
拓馬との関係も。


そして、後日。
放火殺人の容疑者として、ひとりの人物が報道された。
ガソリンを置いたというのが───。


(航大……!?)


玲の別れた恋人、航大が逮捕されたのだ。

テレビでうつむき護送用ベストを着用した航大の姿が、テレビやインターネットに映し出された。

(どうして航大が!?)

金に困った航大が社長を殺害し、金品を奪おうとしたと自供したと報道されていた。

だが報道されたのはそこまでで、それ以降ニュースに上ることはなく、結局、真相は謎のまま、時間のみが過ぎていった。


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