豆腐

夏が嫌い②

僕は彼が教えてくれることを良いことに、ある日宿題の解答を適当に書いていた。

もちろん彼はそれをわかっていた。

彼はやれやれと首を降り僕に向かって言った。

「君がふざける事に関して僕は何も思わない。僕は君に勉強ができるようになって欲しいとも思わない。ただ適当にするのであれば、それはそれでもう少し面白いことを書けないのかい？」

彼は僕に対して内容がどうかは別として説得力のある喋り方だった。

彼は僕に解答を全部消させて初めからやり直した。

その日は寝る時間も遅くなった。

まもるは夏が嫌いだった。

肌が弱いので真夏の太陽が苦手だったのだ。

暑さにも弱かった。

湯豆腐は美味しんだけどなあと言うと、彼は僕の話を無視した。

僕は人や物を怒らせてしまう癖がある。

自覚はない。

まなみのことも何度か怒らせた。

僕は変なことを言った時に冗談で、「まるで頭の中が豆腐」だと言ってしまう。

まなみは1週間近く口を聞かなくなる。

まもるは「君は全く懲りない人間だ。女心がわからない以前の問題だ」と言った。

まもるがなだめても簡単に許してくれないのだから、僕ができることは皆無だ。

僕は調子に乗ると冗談を言い続けてしまう。

結果的に相手を不快にさせてしまう。

まなみを怒らせてしまった時は、いつも彼女の部屋の前に和菓子を置いておく。

以前はまなみは洋菓子は甘いから和菓子の方が好きなのと言ってた。

僕はそれに対してどう答えれば良かったのか今でもわからない。

葉月のことも何度か怒らせたことがある。

僕は基本的に1人で行動をするのが好きなのだ。

人の買い物に付き合うと、なんでこんなことをしなければと思ってしまうのだ。

買い物に2人で行った時、僕は僕が見たいものを見るからと別行動をとった。

それが彼女を怒らせたようだ。

全く僕は女性の心も、そもそも人の心を理解するのが苦手なのだ。

ある日の夕方、葉月が僕の家に来た。
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