神殺しのクロノスタシスⅣ
ナジュと天音が合流し、これで、役者は全員揃ったな。

さて、皆で今後のことを話し合おう…と、思ったら。

「よいしょ」

「ふー、やれやれ。やるかー」

二人の元暗殺者組が、床にしゃがみ込んで、消しゴム型爆弾をひょいっと拾った。

「…は?」

何やってんの、お前ら。

しかも、あろうことか。

令月は小刀を、すぐりはお得意の糸をしゅるりと出して、消しゴムを解体し始めていた。

!?

「何やってんだ!?危ないだろ!」

「え?危ないから、今のうちに解体するんでしょ」

「そーだよ。いつ起爆するか分からないんだから、信管抜いておかないと」

それはそうだが。

「でも、お前らそんなの、危険、」

「『アメノミコト』にいたとき、不発弾の処理とか、爆弾の扱いも教えられてるから、平気」

「それにさー、どうせ大人達は、これから小難しい話するんでしょ?じゃあ俺達は、暇潰しに爆弾の処理でもしておくよ」

暇潰し感覚で爆弾処理しようとするのは、ルーデュニア聖王国広しと言えども、お前らくらいだろうよ。

危ねーからやめろ。

「大丈夫ですよ、そんな危険を冒してまで爆弾処理しなくても…ほら」

と、シュニィは子供をあやすように言って、スッ、と杖を振った。

途端。

「あれ。消えてなくなっちゃった」

俺達の目の前にあった、小型爆弾の数々が。

一瞬にして、消えてなくなった。

「空間魔法で、異空間に飛ばしました。何もない空間に、です。これなら起爆しても問題ないでしょう」

さすがシュニィ。

もっと早くこうしておくべきだったな。

「なーんだ…。つまんないのー」

「僕達の仕事、なくなっちゃったね」

何で残念そうなんだよ、お前達は。

爆弾処理したかったのか?

…それよりも、話を戻そう。

「さっきの爆弾も、この盗聴器やカメラも…全部…『サンクチュアリ』の仕業なんだろう?」

「…まぁ、十中八九、そう考えて間違いないだろうね」

「あの野郎共…。何だってこんな真似を…。やっぱり狙ってたのか、このオープンスクールの日を」

「そりゃあそうでしょう。校外の人間が自由に出入り出来るのは、この日くらいです」

ってことは、あいつら。

この日に合わせて、あの爆弾や盗聴器達を取り揃えて。

満を持して、スパイを潜り込ませて設置していった訳か。

ろくでもない奴らだ。

「一体何の為に、こんなことを…」

「それはあれですよ、天音さん。決まってるじゃないですか。魔導師排斥論者にとって、ここは最も目障りな学校だからですよ」

天音の呟きに、ナジュが答えた。

まぁ…そう考えて、間違いないだろうな。
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