神殺しのクロノスタシスⅣ
「…シュニィ。あれどうしたの?」
あれとは勿論、憤怒に燃えているアトラスのことである。
「え、えぇと…。聖魔騎士団が入手した、魔導部隊批判のビラに、私のことを…魔女だと罵った文章が書いてあって…それを読んで…」
「…あー…」
そりゃ怒るわ。
最愛の妻を魔女呼ばわりされたんじゃ、アトラスの血管が切れるのも当たり前だ。
「シュニィの何処にツノなんかあるって言うんだ。むしろ可愛さ以外に何があるんだ!?」
なんか言ってますよ、お宅の旦那。
「なぁ!学院長もそう思うだろう!?」
「えっ、私!?」
いきなり話を振られて、戸惑いまくるシルナ。
返答次第では、アトラスの大剣がシルナに襲いかかることになるだろう。
怖っ。
「そ、そ、そ、そうだね。シュニィちゃんは、今も昔も可愛いよねー…」
「そうだろう!俺もそう思う!!」
本日一番の大声で、アトラスが同意。
シュニィは例によって、顔を真っ赤にして俯いていた。
良かったなシルナ。返答を間違えずに済んで。
「それなのにあいつら、シュニィを侮辱して…絶対に許さん!全員ひっ捕らえて、改めてシュニィの前に立たせ、このあまりの神々しさに、頭を垂れて跪かせてやる!」
「…」
う、うん。
もしかして、それが動機?
強制捜査を決意した最大の理由は、嫁を侮辱されたからなのか?
「…そのビラを読んだとき、アトラス団長、ビラを引き千切ったかと思ったら、無言で大剣の柄を掴んで、怒りのあまりぶるぶる震えてて…」
「あまりの剣幕に、居合わせた隊員も生きた心地がしなかったそうだ」
エリュティアと無闇が、そっと教えてくれた。
…そうか。
それは…その隊員達も、不運だったな。
尻尾を盛大に踏まれた虎が、今にも襲いかかってくるんじゃないかと、気が気でなかったことだろう。
「…」
シュニィは何も言わずに、真っ赤になった顔を手で覆っていた。
気の毒。
「…何言ってるんだろうね、あの人…」
「危ない人だねー」
子供達もひそひそと、この反応。
しかし、言われている本人は、怒りのあまり耳に入ってない。
「と、と、とにかく。聖魔騎士団は、『サンクチュアリ』の本拠地は、掴んでるんだね?」
「あ、はい。探索魔法で…彼らの活動拠点を見つけたので…」
シルナの問いに、エリュティアが答えた。
「そ、そっか。相手は非魔導師の一般人だけど、でも相手は爆弾も持ってるから、気をつけ、」
「あぁ、勿論だ!シュニィを侮辱した奴らは、まとめて成敗してくれる!任せてくれ!」
いや、そうじゃない。
そうなんだけど。でもそうじゃない。
が、アトラスのあまりの気迫に、誰も何も言えなかった。
ただ、唯一口を開いたのは、勿論。
「…危ない人だね」
「うん」
今ばかりは、俺も令月達と同じ意見だった。
あれとは勿論、憤怒に燃えているアトラスのことである。
「え、えぇと…。聖魔騎士団が入手した、魔導部隊批判のビラに、私のことを…魔女だと罵った文章が書いてあって…それを読んで…」
「…あー…」
そりゃ怒るわ。
最愛の妻を魔女呼ばわりされたんじゃ、アトラスの血管が切れるのも当たり前だ。
「シュニィの何処にツノなんかあるって言うんだ。むしろ可愛さ以外に何があるんだ!?」
なんか言ってますよ、お宅の旦那。
「なぁ!学院長もそう思うだろう!?」
「えっ、私!?」
いきなり話を振られて、戸惑いまくるシルナ。
返答次第では、アトラスの大剣がシルナに襲いかかることになるだろう。
怖っ。
「そ、そ、そ、そうだね。シュニィちゃんは、今も昔も可愛いよねー…」
「そうだろう!俺もそう思う!!」
本日一番の大声で、アトラスが同意。
シュニィは例によって、顔を真っ赤にして俯いていた。
良かったなシルナ。返答を間違えずに済んで。
「それなのにあいつら、シュニィを侮辱して…絶対に許さん!全員ひっ捕らえて、改めてシュニィの前に立たせ、このあまりの神々しさに、頭を垂れて跪かせてやる!」
「…」
う、うん。
もしかして、それが動機?
強制捜査を決意した最大の理由は、嫁を侮辱されたからなのか?
「…そのビラを読んだとき、アトラス団長、ビラを引き千切ったかと思ったら、無言で大剣の柄を掴んで、怒りのあまりぶるぶる震えてて…」
「あまりの剣幕に、居合わせた隊員も生きた心地がしなかったそうだ」
エリュティアと無闇が、そっと教えてくれた。
…そうか。
それは…その隊員達も、不運だったな。
尻尾を盛大に踏まれた虎が、今にも襲いかかってくるんじゃないかと、気が気でなかったことだろう。
「…」
シュニィは何も言わずに、真っ赤になった顔を手で覆っていた。
気の毒。
「…何言ってるんだろうね、あの人…」
「危ない人だねー」
子供達もひそひそと、この反応。
しかし、言われている本人は、怒りのあまり耳に入ってない。
「と、と、とにかく。聖魔騎士団は、『サンクチュアリ』の本拠地は、掴んでるんだね?」
「あ、はい。探索魔法で…彼らの活動拠点を見つけたので…」
シルナの問いに、エリュティアが答えた。
「そ、そっか。相手は非魔導師の一般人だけど、でも相手は爆弾も持ってるから、気をつけ、」
「あぁ、勿論だ!シュニィを侮辱した奴らは、まとめて成敗してくれる!任せてくれ!」
いや、そうじゃない。
そうなんだけど。でもそうじゃない。
が、アトラスのあまりの気迫に、誰も何も言えなかった。
ただ、唯一口を開いたのは、勿論。
「…危ない人だね」
「うん」
今ばかりは、俺も令月達と同じ意見だった。