神殺しのクロノスタシスⅣ
『サンクチュアリ』が単なるアホで。

魔導師憎さに、後先考えず過激な行動を取っているだけなら、一向に構わない。

いや、それも面倒だけど。

しかしそういう奴らは、有無を言わさずしょっ引いてやれば、それで終わりだ。

簡単な話で済む。

でも、実際のところはそうじゃないだろう。

魔導師に優しいこの国で、敢えて魔導師排斥論者を名乗り、あんな過激なテロ行為を行うには何か理由がある…と、俺は思う。 

根拠がある訳ではない。ただの勘だ。

多分『サンクチュアリ』には、何かしらの裏がある。

とはいえ、なぁ…。その正体も分からないのに、裏があるだろうから、と手をこまねいていても被害が拡大するばかりだし…。

とにかく、『サンクチュアリ』の本拠地は割れているのだ。

奴らの縄張りに踏み込み、調査をすれば。

奴らに何の裏があるのかも、判明することだろう。

動いてみなければ分からない、ってことだな。

「じゅ、りす、はむず、かしい、ことを、考え、てるんだ、ねっ」

「…あぁ。逆に俺は、お前が何を考えてるのかさっぱり分からないよ」

さっきから、この女。

妙に喋り方が怪しいのだが。

その理由は明白。

何故か今、俺の目の前にいる女…ベリクリーデは。

アラベスクを、していた。

…マジで、何がしたいんだ?こいつは。
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