神殺しのクロノスタシスⅣ
「二人共…ごめんね、ずっと黙ってて…気を遣わせて…」
シルナは、しおらしくしゅんとして、二人に謝った。
しかし。
「そんな。言いたくないことを、打ち明けてくれてありがとうございます。現状を打開することは出来なくても…。知らないよりは、知っている方が良いですから」
天音は、相変わらず優しい笑顔でそう答えた。
天音って本当良い奴だよなぁ。
と、思っていたら。
「勿体振って黙ってるから、どんな情報かと思えば…。そのくらい、勿体振るようなことじゃないでしょう。さっさと言いなさい」
イレースは、相変わらず辛辣だった。
そして。
「ちなみに、初日から学院長の心を読んで、事情を察していた僕も、イレースさんと同意見でした。そんな勿体振ることですか?それ」
この中でただ一人、誰より先に、シルナの隠していることを読心魔法で把握していたナジュまでもが。
この、辛辣な感想。
…お前らという奴は…。
少しは、天音の優しさを見習え。
「失礼な。僕は優しいですよ。何せ、こんなど〜でも良い情報を、学院長がうじうじ黙っていたいらしいから、黙っていてあげたんですよ。内心チクりたくて仕方なかったんですからね」
最低だなお前は。
でも、シルナの意を汲んで、黙っていてくれたことには感謝してるよ。
あと、どうでも良いことではないだろ。
「なんだ、羽久さん。あなたも聖魔騎士団魔導部隊の仲間でしょう?同僚を信じてないんですか?」
「信じてるよ」
だから今朝は、昨日や一昨日とは比べ物にならないくらい、心が楽だ。
彼らなら、きっと大丈夫だ。
魔封じの石で作られた異次元世界から、きっと抜け出せる。
そういう奴らだ。四人共。
「時間はかかるかもしれないけど…。俺は、あいつらを信じてる…。きっと、戻ってくるはずだ」
「…と、楽観視するのは結構ですが」
イレースが口を挟んだ。
「学院長の情報によると、その魔封じの石とやらは、一つだけではないんでしょう?」
「うん…。もとは一つの石だったけど…今は割られて、少なくとも、五つ以上は存在するはずだよ」
五つ…。
「五つって言える根拠は?」
「まずは、あの魔法陣を発動させる為に置いてあった、水晶玉。あれが一つ目」
「他の四つは?」
「消されたのが四人だから。消えた四人は、それぞれ魔封じの石が作り出した異次元世界に、飛び込められているんだと思う」
「成程…。魔導師一人につき一つの魔封じの石が、異次元世界を作り出しているんですね」
天音がそう確認し、シルナも頷いた。
消えた四人の、一人につき一つの石…。
しかも『サンクチュアリ』の連中は、強制捜査のとき突入してきた魔導師達を、あわよくば全員巻き込んで、異次元に飛ばそうとしてたんだよな?
つまり他にも、異次元世界を作り出す為に、魔封じの石を所持してるって訳で…。
…一体、あと何個あるんだ?
「あの水晶玉の大きさで、均一に等分しているんであれば…。十個はあると思うんだけど…」
「じゅっ…、そ、そんなにあるのか?」
「分かりませんよ?もっと多いかも。それこそ、ビー玉サイズまで砕きまくってたら…」
何だ、その質の悪い倍々ゲーム。
と、思ったが。
「いや…あの水晶玉より小さくなったら、効力がなくなってくるから…」
そうか。それなら安心だな。
豆粒みたいな大きさまで分割されたんじゃ、堪らないからな。
シルナは、しおらしくしゅんとして、二人に謝った。
しかし。
「そんな。言いたくないことを、打ち明けてくれてありがとうございます。現状を打開することは出来なくても…。知らないよりは、知っている方が良いですから」
天音は、相変わらず優しい笑顔でそう答えた。
天音って本当良い奴だよなぁ。
と、思っていたら。
「勿体振って黙ってるから、どんな情報かと思えば…。そのくらい、勿体振るようなことじゃないでしょう。さっさと言いなさい」
イレースは、相変わらず辛辣だった。
そして。
「ちなみに、初日から学院長の心を読んで、事情を察していた僕も、イレースさんと同意見でした。そんな勿体振ることですか?それ」
この中でただ一人、誰より先に、シルナの隠していることを読心魔法で把握していたナジュまでもが。
この、辛辣な感想。
…お前らという奴は…。
少しは、天音の優しさを見習え。
「失礼な。僕は優しいですよ。何せ、こんなど〜でも良い情報を、学院長がうじうじ黙っていたいらしいから、黙っていてあげたんですよ。内心チクりたくて仕方なかったんですからね」
最低だなお前は。
でも、シルナの意を汲んで、黙っていてくれたことには感謝してるよ。
あと、どうでも良いことではないだろ。
「なんだ、羽久さん。あなたも聖魔騎士団魔導部隊の仲間でしょう?同僚を信じてないんですか?」
「信じてるよ」
だから今朝は、昨日や一昨日とは比べ物にならないくらい、心が楽だ。
彼らなら、きっと大丈夫だ。
魔封じの石で作られた異次元世界から、きっと抜け出せる。
そういう奴らだ。四人共。
「時間はかかるかもしれないけど…。俺は、あいつらを信じてる…。きっと、戻ってくるはずだ」
「…と、楽観視するのは結構ですが」
イレースが口を挟んだ。
「学院長の情報によると、その魔封じの石とやらは、一つだけではないんでしょう?」
「うん…。もとは一つの石だったけど…今は割られて、少なくとも、五つ以上は存在するはずだよ」
五つ…。
「五つって言える根拠は?」
「まずは、あの魔法陣を発動させる為に置いてあった、水晶玉。あれが一つ目」
「他の四つは?」
「消されたのが四人だから。消えた四人は、それぞれ魔封じの石が作り出した異次元世界に、飛び込められているんだと思う」
「成程…。魔導師一人につき一つの魔封じの石が、異次元世界を作り出しているんですね」
天音がそう確認し、シルナも頷いた。
消えた四人の、一人につき一つの石…。
しかも『サンクチュアリ』の連中は、強制捜査のとき突入してきた魔導師達を、あわよくば全員巻き込んで、異次元に飛ばそうとしてたんだよな?
つまり他にも、異次元世界を作り出す為に、魔封じの石を所持してるって訳で…。
…一体、あと何個あるんだ?
「あの水晶玉の大きさで、均一に等分しているんであれば…。十個はあると思うんだけど…」
「じゅっ…、そ、そんなにあるのか?」
「分かりませんよ?もっと多いかも。それこそ、ビー玉サイズまで砕きまくってたら…」
何だ、その質の悪い倍々ゲーム。
と、思ったが。
「いや…あの水晶玉より小さくなったら、効力がなくなってくるから…」
そうか。それなら安心だな。
豆粒みたいな大きさまで分割されたんじゃ、堪らないからな。