神殺しのクロノスタシスⅣ
「学院の方はお気になさらず。この際学院長がいない間、風紀と規律を改めることにします」

と、頼もしいイレース。

頼もしいんだが、俺達が帰ってきたとき、イーニシュフェルト魔導学院が兵隊学校みたいになってたらどうしよう。

シルナが泣きそう。

「僕も、微力ながらサポートするから…。それと、聖魔騎士団への連絡も」

と、天音が言った。

あ、そうか。

俺達、勝手に話を進めてるけど…。聖魔騎士団にも、連絡しておかないとな。

「…」

俺は、シルナと顔を見合わせた。

出来ることなら今すぐ、シュニィ達に話しに行きたいが…。

…行ったら、絶対反対されるに決まってるだろうからな。

「学院長達が行くことはありません。そういうことなら私が」とか言いそう。

絶対言うよ。

また、遠征メンバーを選定し直さなければならなくなる。

俺達はもう覚悟を決めてるんだから、その必要はないのに。

「…ごめん、天音。シュニィ達には、事後報告してもらえるか?」

先に俺達が魔法陣に飛び込んで、その後シュニィ達に、

「学院長達が魔封じの石を取り戻しに行った」と伝えて欲しい。

引き留められる前に行ってしまえば、もう後の祭りだもんな。

シュニィを騙すようで申し訳ないが、話を早く進めるには、これしかない。

「…それ、僕が責められるパターンだね。何で先に言ってくれなかったんですか、って…」

天音はポツリと言った。

そうなるだろうな。ごめん。

「嫌な役回りでごめんな…」

「ううん…。三人に比べれば、全然楽だよ」

本当にごめんな。

「でも、その代わり無事に戻ってきて」

「あぁ、任せろ」

絶対無事に帰ってくる。

俺達も、消えた四人も令月達も。

そしてまた、イーニシュフェルト魔導学院で、平和な日常を取り戻すのだ。
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