神殺しのクロノスタシスⅣ
俺は、一瞬考えた。

自分がどうしたら良いのか。

この世界が設定した役割に、従うべきなのか。抗うべきなのか。

…愚問だよな。

今の俺には、魔法が使えない。

抗ったところで、何が出来る。

魔封じの石の影響下にある世界で、俺に何が出来るというのだ。

俺のやるべきことは、一つ。

魔封じの石の持ち主を見つけ、そいつをぶっ飛ばすことだ。

目の前にいる、この哀れな子供達を救うことではない。

目的を見失うな。

…その為に、目の前の子供達を見捨てるのか?

そうだ。見捨てる。

俺は、シルナを助ける。

それ以外は知らない。非情と言われようが。

何処にいようと俺は、ルーデュニア聖王国聖魔騎士団、魔導部隊特務隊隊長。

羽久・グラスフィアだ。

「早く連れてきてよ。会長が待ってるよ」

「…あぁ。分かった」

俺は、片手に持っている鍵束を握り締めた。

俺には、奴隷の選別なんて出来ない。良し悪しなんて分からない。

だから、手近にいた、出来るだけ健康そうな子供を六人選んだ。

俺に腕を掴まれた子供達は、恐怖半分。

…もう半分は、憎しみの目で俺を見た。

俺は、その視線を見なかったことにした。
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