神殺しのクロノスタシスⅣ
…あ、そう。

本物の、ってことは…シルナも…。

「異次元世界で、偽物の俺に会ったのか?」

「会ったよ…割とずっと喋ってた…」

何だそれは。

一体どういう状況だ?

そういえばさっき、俺がアナウンサーで、レディースアンドジェントルメンが何とか、って言ってたな。
 
俺もどきは、シルナの異次元世界で何やってたんだ?

マジシャンか何か?

いずれにしても、そんな自分を想像すると気持ち悪いぞ。

「どんな世界だったんだ?シルナの異次元世界は…」

「…それは…」

言葉に詰まるシルナ。

何だ。やっぱり言いたくないのか。

「…まぁ、別に無理には聞かないけど」

俺にとっても、異次元世界は楽しいものじゃなかったからな。

多分シルナにとっても、思い出したくない世界だったんだろう。

じゃあ、無理には聞かないよ。

無理に思い出すことはない。

「無事に戻ってこられたんだから、それだけで上等だ」

それ以上大切なことはないだろう。

しかし。

「…いや…話すよ」

「…良いのか?」

「うん、羽久になら…。でも他の人には内緒にしてね」

…成程、そう来たか。

「分かった。聞くよ」

「…私が入った異次元世界はね…」

シルナは、シルナが入った不思議な世界について話し始めた。
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