神殺しのクロノスタシスⅣ
「出たぁぁぁ化け物化け物ばへもの!」
噛んでるぞ。
「助け、助けてぇぇイレースちゃ、」
「鼻水垂らして汚らしい。近寄らないでください」
イレースに助けを求めるも、鬼教官に救いはない。
「な、ナジュ君助け、」
「あはは、なると思ってた。ウケる〜!」
ナジュに助けを求めるも、指を差して笑うだけ。
そして、残るは。
「あ、天音君〜っ!助けて〜っ!」
「は、はい…。僕もびっくりしたので、大丈夫です…」
良かったな、シルナ。
天音だけは、シルナが鼻水垂らして縋り付いてこようと、無下にあしらわない。
ナジュはもうクビにしろよ。
…それと。
「…何をやってんだ?お前は」
「え?盗み聞き」
悪びれもせず、とんでもないことを言う逆さま男。
天井から、まるで空中に浮遊するかのように、ぷらぷらと浮いているのは。
元『アメノミコト』、『終日組』の暗殺者にして、イーニシュフェルト魔導学院三年生。
黒月令月である。
そして、令月がいるということは。
俺は、宙吊りになっている令月の上を見た。
何故か天井の板が、一部ぽっかりと外れ。
そこから、もう一人が覗いていた。
「ん?何で見てるの?」
「それはこっちの台詞だ、馬鹿」
何白々しい顔して、白々しいこと言ってんだ。
「降りてこい、すぐり」
同じく、元『終日組』暗殺者で、イーニシュフェルト魔導学院二年生。
花曇すぐりである。
令月が空中に宙ぶらりんになっているのは、このすぐりのせいだ。
目には見えないが、令月の足には、すぐりお得意の糸が巻かれており。
その糸で天井から吊って、宙吊りになっているのだ。
器用なのは分かるが、幽霊みたいなことすんな。
こいつらには気配というものがないから、余計幽霊みたいに見える。
「ふぇぇぇぇ、お化けぇぇぇぇ!」
見ろ。シルナがびびり散らかしてる。
なのに、元暗殺者組は、「何やってんの?」みたいなきょとん顔。
ったく…。
「降りてこい、お前ら」
まず、話はそこからだ。
「しょーがないなぁ。落とすよー『八千代』」
「うん、良いよ」
プツッ、と糸が切れ。
宙吊りになっていた令月は、くるりと一回転して、綺麗に着地。
同時に、天井裏に潜んでいたすぐりも、しゅたっ、と軽やかに降りてきた。
身のこなしが、相変わらず暗殺者のそれだ。
シルナがぶるぶる震えているというのに。
「お前ら、俺達に何か言うことは?」
俺は、しかめっ面で二人に聞いた。
しかし。
「あ、うん。魔導師排斥論者って何?」
違うだろ、馬鹿。
もっと他に言うべきことがあるだろ。
下校時刻を過ぎたのに、飽き足らず学生寮から抜け出してごめんなさいとか。
いつの間にか学院長室の天井裏に忍び込んで、盗み聞きしてごめんなさいとか。
宙吊りで現れて、シルナの度肝を抜かしてごめんなさいとか。
謝罪しろ。色々と。
しかしこいつらは、そのような謝罪は一切なく。
まるで悪びれもせず、けろっとして話に加わろうとしてきやがった。
一体何回、学生寮から脱走すれば気が済むんだ?
「今日は一体、何だって忍び込んだんだ?」
「え?『八千歳』が、『ねー今日忍び込まない?』って言うから…」
そんな、学校帰りにゲーセン行くみたいなノリで忍び込むな。
そして令月、お前もそれを了承するんじゃない。
「そしたら、案の定難しそーな話してたから。話に入れてもらおうと思って」
と、すぐり。
こいつら…。
「…何処から聞いてたんだ?」
「ナジュせんせーの、『成程、シャネオンに着いたら…』のところから」
初っ端から聞いてたんじゃないかよ。畜生。
噛んでるぞ。
「助け、助けてぇぇイレースちゃ、」
「鼻水垂らして汚らしい。近寄らないでください」
イレースに助けを求めるも、鬼教官に救いはない。
「な、ナジュ君助け、」
「あはは、なると思ってた。ウケる〜!」
ナジュに助けを求めるも、指を差して笑うだけ。
そして、残るは。
「あ、天音君〜っ!助けて〜っ!」
「は、はい…。僕もびっくりしたので、大丈夫です…」
良かったな、シルナ。
天音だけは、シルナが鼻水垂らして縋り付いてこようと、無下にあしらわない。
ナジュはもうクビにしろよ。
…それと。
「…何をやってんだ?お前は」
「え?盗み聞き」
悪びれもせず、とんでもないことを言う逆さま男。
天井から、まるで空中に浮遊するかのように、ぷらぷらと浮いているのは。
元『アメノミコト』、『終日組』の暗殺者にして、イーニシュフェルト魔導学院三年生。
黒月令月である。
そして、令月がいるということは。
俺は、宙吊りになっている令月の上を見た。
何故か天井の板が、一部ぽっかりと外れ。
そこから、もう一人が覗いていた。
「ん?何で見てるの?」
「それはこっちの台詞だ、馬鹿」
何白々しい顔して、白々しいこと言ってんだ。
「降りてこい、すぐり」
同じく、元『終日組』暗殺者で、イーニシュフェルト魔導学院二年生。
花曇すぐりである。
令月が空中に宙ぶらりんになっているのは、このすぐりのせいだ。
目には見えないが、令月の足には、すぐりお得意の糸が巻かれており。
その糸で天井から吊って、宙吊りになっているのだ。
器用なのは分かるが、幽霊みたいなことすんな。
こいつらには気配というものがないから、余計幽霊みたいに見える。
「ふぇぇぇぇ、お化けぇぇぇぇ!」
見ろ。シルナがびびり散らかしてる。
なのに、元暗殺者組は、「何やってんの?」みたいなきょとん顔。
ったく…。
「降りてこい、お前ら」
まず、話はそこからだ。
「しょーがないなぁ。落とすよー『八千代』」
「うん、良いよ」
プツッ、と糸が切れ。
宙吊りになっていた令月は、くるりと一回転して、綺麗に着地。
同時に、天井裏に潜んでいたすぐりも、しゅたっ、と軽やかに降りてきた。
身のこなしが、相変わらず暗殺者のそれだ。
シルナがぶるぶる震えているというのに。
「お前ら、俺達に何か言うことは?」
俺は、しかめっ面で二人に聞いた。
しかし。
「あ、うん。魔導師排斥論者って何?」
違うだろ、馬鹿。
もっと他に言うべきことがあるだろ。
下校時刻を過ぎたのに、飽き足らず学生寮から抜け出してごめんなさいとか。
いつの間にか学院長室の天井裏に忍び込んで、盗み聞きしてごめんなさいとか。
宙吊りで現れて、シルナの度肝を抜かしてごめんなさいとか。
謝罪しろ。色々と。
しかしこいつらは、そのような謝罪は一切なく。
まるで悪びれもせず、けろっとして話に加わろうとしてきやがった。
一体何回、学生寮から脱走すれば気が済むんだ?
「今日は一体、何だって忍び込んだんだ?」
「え?『八千歳』が、『ねー今日忍び込まない?』って言うから…」
そんな、学校帰りにゲーセン行くみたいなノリで忍び込むな。
そして令月、お前もそれを了承するんじゃない。
「そしたら、案の定難しそーな話してたから。話に入れてもらおうと思って」
と、すぐり。
こいつら…。
「…何処から聞いてたんだ?」
「ナジュせんせーの、『成程、シャネオンに着いたら…』のところから」
初っ端から聞いてたんじゃないかよ。畜生。