神殺しのクロノスタシスⅣ
それは本当に、とある一日のことだった。
その日の朝、俺はいつも通り、叔母にお弁当箱を渡された。
「はい、お弁当」
「ありがとう」
と言って、毎朝お弁当を作ってもらってるけど。
昼休みに、これをちゃんと食べられる日は少ない。
と言うのも、例のいじめっ子達が、毎日俺のお弁当をひっくり返すのが楽しくて堪まらないらしいからだ。
…すると。
「あ、良かった。まだ行ってなかった」
「?どうかした?」
家を出ようと、玄関で靴を履いているところに。
従兄妹の女の子が、俺の傍らにしゃがんだ。
「これ、お守り」
そう言って、従兄妹は俺に、手作りらしいクマのマスコットを握らせた。
お守り…。
「なんか、このクマ…首絞められてるけど…」
可愛いはずのクマさんが、首に赤い紐で、ぐるぐる巻きにされている。
悲惨。
えーっと。嫌がらせのつもり…とかじゃないよな。
「厄除け祈願なんだよ。そのクマが、持ち主の代わりに厄をを引き受けてくれるの」
と、従兄妹が説明してくれた。
あ、成程…それで…。
クマが代わりに首を絞められることで、俺の身を守ってくれてるんだな。
目には目を、歯には歯をってね。
嫌がらせかもなんて、疑ってごめんなさい。
「これがあれば、いじめっ子なんて怖くないよ。大丈夫」
従兄妹は、笑顔でそう言った。
…優しい良い子だなぁ…。
その為に、わざわざ作ってくれたのか…。
…そして。
「辛かったら、転校しても良いんだからな」
その様子を見ていたらしい叔父が、俺の背中に声をかけた。
振り返ると、心配そうな顔をした叔父がいた。
「お前はうちに遠慮してるみたいだが…。遠慮なんかしなくて良い。お前がこれ以上、辛い思いをすることはないんだ」
「…叔父さん…」
「お前は、もうこの家の一員なんだからな」
と、叔父さんはきっぱり言った。
従兄妹の女の子も、まんざらではない風に頷いた。
…良い家族だな。
本当に、良い家族だよ。
「ありがとう…。…転校…考えておくよ」
「あぁ、そうしろ」
「お兄ちゃん、行ってらっしゃい!」
優しい家族に見送られ。
俺はその日も、いつも通り学校に行った。
その日の朝、俺はいつも通り、叔母にお弁当箱を渡された。
「はい、お弁当」
「ありがとう」
と言って、毎朝お弁当を作ってもらってるけど。
昼休みに、これをちゃんと食べられる日は少ない。
と言うのも、例のいじめっ子達が、毎日俺のお弁当をひっくり返すのが楽しくて堪まらないらしいからだ。
…すると。
「あ、良かった。まだ行ってなかった」
「?どうかした?」
家を出ようと、玄関で靴を履いているところに。
従兄妹の女の子が、俺の傍らにしゃがんだ。
「これ、お守り」
そう言って、従兄妹は俺に、手作りらしいクマのマスコットを握らせた。
お守り…。
「なんか、このクマ…首絞められてるけど…」
可愛いはずのクマさんが、首に赤い紐で、ぐるぐる巻きにされている。
悲惨。
えーっと。嫌がらせのつもり…とかじゃないよな。
「厄除け祈願なんだよ。そのクマが、持ち主の代わりに厄をを引き受けてくれるの」
と、従兄妹が説明してくれた。
あ、成程…それで…。
クマが代わりに首を絞められることで、俺の身を守ってくれてるんだな。
目には目を、歯には歯をってね。
嫌がらせかもなんて、疑ってごめんなさい。
「これがあれば、いじめっ子なんて怖くないよ。大丈夫」
従兄妹は、笑顔でそう言った。
…優しい良い子だなぁ…。
その為に、わざわざ作ってくれたのか…。
…そして。
「辛かったら、転校しても良いんだからな」
その様子を見ていたらしい叔父が、俺の背中に声をかけた。
振り返ると、心配そうな顔をした叔父がいた。
「お前はうちに遠慮してるみたいだが…。遠慮なんかしなくて良い。お前がこれ以上、辛い思いをすることはないんだ」
「…叔父さん…」
「お前は、もうこの家の一員なんだからな」
と、叔父さんはきっぱり言った。
従兄妹の女の子も、まんざらではない風に頷いた。
…良い家族だな。
本当に、良い家族だよ。
「ありがとう…。…転校…考えておくよ」
「あぁ、そうしろ」
「お兄ちゃん、行ってらっしゃい!」
優しい家族に見送られ。
俺はその日も、いつも通り学校に行った。