神殺しのクロノスタシスⅣ
シルナ分身に、イレース達への伝言を残し。

俺とシルナは、再び空間魔法を使って、南方都市シャネオンにやって来た。

「えぇと…。エヴェリナちゃんの住所は…と」

シルナは、生徒名簿を見て、エヴェリナの家を確認。

早速、エヴェリナの住むオーネラント家を見つけた。

シャネオンの駅からは少し離れた、閑静な住宅街。

彼女の家は、その一角にあった。

「よしっ、行くぞ…」

シルナは、オーネラント家のインターホンを鳴らした。

平然な振りをしているが、内心心臓バクバクだろうな。

さて、鬼が出るか蛇が出るか…エヴェリナが出るか。

「もしもし。もしもーし!」

と、喚いているシルナ。

「…そんな急かすなよ…」

不審者だと思われるぞ。

すると、シルナの祈りが通じたのか。

オーネラント家の玄関が、僅かに開いた。

そこから、じっとこちらを睨みつける目は、エヴェリナのものではなかった。

見たところ…エヴェリナの母親、か?

エヴェリナの家族と見るに、シルナは用意しておいた言葉を話し始めた。

「突然お邪魔して、申し訳ありません。あの、私、お嬢さんが通っているイーニシュフェルト魔導学院の、学院長をしている…」

「…!あなた、まさかシルナ・エインリー?」

エヴェリナの母親(だと思われる女性)は、シルナの名前を知っていた。

ならば、話は早い。

「は、はい!そうです。突然お邪魔してごめんなさい。今日は、お嬢さんのことについてお話を…」

と、シルナは出来るだけ丁重に言おうとしたが。

エヴェリナの母親は、思いもよらない言葉を発した。

「うちの娘を拐かした、諸悪の根源が!うちに何をしに来たの!?」

初対面なのに、いきなり激昂。

これには、俺とシルナもびっくり。

しょ、諸悪の根源?

「出て行きなさい、この詐欺師め!」

「え?あの、ちょ、お母様落ち着い、」

「あんたの言うことなんて、信じられるもんですか。シルナ・エインリー!またうちの娘を惑わして連れて行こうったって、そうは行かないわよ!」

めっちゃ怒ってるぞ。

お前、エヴェリナに何かしたのか?
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