神殺しのクロノスタシスⅣ
大人しくしておけと、あれだけ、あれっだけ、大人しくしておけと言ったのに。

あの馬鹿、何処に行きやがった?

俺が渡した積み木が、床に並べられたまま放置されている。

片付けくらいしていけよ。何でそのままなんだ。

そして、何処に行ったんだ?

俺は行方不明の子供を探す親かよ。

ベリクリーデの居場所なんて、別に放っておけば良いのだが。

あいつは野放しにすると、絶対ろくな結果を生まないということを、俺はよく知っている。

故に、探さざるを得ない。

「くっそ…。あいつ、何処行ったんだ…!?」

GPSつけたい。あいつに迷子予防のGPS。

とにかく隊舎を一周回って調べ、

「じゅ、ジュリス隊長!良かった、お戻りでしたか!」

…来た。

半泣きの魔導師が一人、俺のもとに。

よく来てくれた。

そしてごめん。俺が野放しにしたせいで。

聞かなくても分かる。絶対、間違いなく、ベリクリーデ案件だ。

「どうした?」

「べ、ベリクリーデ隊長が!そ、外に…」

ほらな。案の定ベリクリーデのことで、俺に助けを求めに来たんだ。

完全に保護者じゃん俺。畜生。

「落ち着いて報告しろ。ベリクリーデがどうした?」

「そ、外で…ノコギリを持って…木を!木を伐採しようとしてるんです!」

…うん。

あいつのことだから、絶対また、突拍子もないことしてるんだろうなー、とは思ってたけど。

これまた、予想の斜め上が来たぞ。

「何でそんなことしてるんだ、あいつは…?」

「わ、分かりません…!このままでは、隊舎に植えてある桜の木が、伐採されてしまいます…!」

それは一大事だな。

「分かった、すぐ行く。場所は何処だ?」

「女性隊舎の裏です!」

「よし」

こうして俺はまたしても、奴の尻拭いに奔走するのだった。

…畜生。
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