神殺しのクロノスタシスⅣ
その日の夜。
俺は遅くまで学院長室にいて、シルナに付き添っていた。
こいつ一人にしたら、絶対また自分を責め始めると思ってさ。
それに、気になることもあった。
「羽久…。自分の部屋に戻っても良いんだよ?もう夜遅いし…」
と、シルナは言っていたが。
「それはお前もだろ。お前が寝るなら俺も寝るよ」
「いや、私は…」
ほら見ろ。寝る気ないじゃないか。
「年寄りの癖に夜更しとは。慣れんことをすると、一気に老けるぞ」
「…羽久が私に失礼なこと言ってる…」
事実だ、事実。
それよりも。
「シルナ、その賢者の石」
「ん?」
俺は、机の上に並べたままの、賢者の石の欠片を指差した。
八つの石の欠片を。
「それって、もとに戻せないのか?」
「もとに?」
「元々は一個の石だったんだろう?だったら、欠片を集めれば、もとの一個の石に戻るんじゃないのか」
未だにバラバラの欠片のままだぞ。
まだ欠片の数は不完全だが、せめてその八つの欠片を一個にまとめておけば、盗難や紛失の恐れはぐっと減る。
しかし。
「それがね…。そのやり方も、私にはよく分からなくて…」
…そうだったのか。
「それも、イーサ・デルムトじゃないと分からないのか」
「そうだね…。賢者の石について分かることは、全て彼に一任されていたから…」
シルナの預かり知るところではない、と。
それなら仕方ない。
「でも、さすがにこのままだと、無防備過ぎるよね…。…金庫にでも入れようか?」
「金庫くらいで、盗難を防げるか?」
魔導師が相手なら、普通の金庫くらい普通に壊せるぞ。
一般人相手なら、気休めにはなるだろうが。
「金庫に防御魔法をかけておけば、少しは開けにくくならない?」
「あぁ、成程…。まぁ、やらないよりはマシだな」
「じゃあ、ちょっと金庫を用意してこよう…」
そう言って、シルナは何処からか、頑丈そうな金庫を持ち出してきた。
ゴツいな。
「何処から持ってきた?その金庫」
「私の秘蔵のチョコを入れてる金庫」
そりゃ重要なもんが入ってるな。
金庫にチョコ入れるのか?それ、冬場は良いとして夏場はヤバくないか?
「チョコと一緒に収めるのかよ…」
「え?うん…。私が持ってる金庫の中では、一番頑丈だよ。重くて、持ち去るのも一苦労だし」
開けたら、漏れなくチョコレートが入ってる金庫って。
持ち出す奴がいたら、そいつはびっくりするだろうな。
まぁ、持ち出そうとするような輩は、俺が成敗してくれるが。
…と、思ったそのとき。
俺は遅くまで学院長室にいて、シルナに付き添っていた。
こいつ一人にしたら、絶対また自分を責め始めると思ってさ。
それに、気になることもあった。
「羽久…。自分の部屋に戻っても良いんだよ?もう夜遅いし…」
と、シルナは言っていたが。
「それはお前もだろ。お前が寝るなら俺も寝るよ」
「いや、私は…」
ほら見ろ。寝る気ないじゃないか。
「年寄りの癖に夜更しとは。慣れんことをすると、一気に老けるぞ」
「…羽久が私に失礼なこと言ってる…」
事実だ、事実。
それよりも。
「シルナ、その賢者の石」
「ん?」
俺は、机の上に並べたままの、賢者の石の欠片を指差した。
八つの石の欠片を。
「それって、もとに戻せないのか?」
「もとに?」
「元々は一個の石だったんだろう?だったら、欠片を集めれば、もとの一個の石に戻るんじゃないのか」
未だにバラバラの欠片のままだぞ。
まだ欠片の数は不完全だが、せめてその八つの欠片を一個にまとめておけば、盗難や紛失の恐れはぐっと減る。
しかし。
「それがね…。そのやり方も、私にはよく分からなくて…」
…そうだったのか。
「それも、イーサ・デルムトじゃないと分からないのか」
「そうだね…。賢者の石について分かることは、全て彼に一任されていたから…」
シルナの預かり知るところではない、と。
それなら仕方ない。
「でも、さすがにこのままだと、無防備過ぎるよね…。…金庫にでも入れようか?」
「金庫くらいで、盗難を防げるか?」
魔導師が相手なら、普通の金庫くらい普通に壊せるぞ。
一般人相手なら、気休めにはなるだろうが。
「金庫に防御魔法をかけておけば、少しは開けにくくならない?」
「あぁ、成程…。まぁ、やらないよりはマシだな」
「じゃあ、ちょっと金庫を用意してこよう…」
そう言って、シルナは何処からか、頑丈そうな金庫を持ち出してきた。
ゴツいな。
「何処から持ってきた?その金庫」
「私の秘蔵のチョコを入れてる金庫」
そりゃ重要なもんが入ってるな。
金庫にチョコ入れるのか?それ、冬場は良いとして夏場はヤバくないか?
「チョコと一緒に収めるのかよ…」
「え?うん…。私が持ってる金庫の中では、一番頑丈だよ。重くて、持ち去るのも一苦労だし」
開けたら、漏れなくチョコレートが入ってる金庫って。
持ち出す奴がいたら、そいつはびっくりするだろうな。
まぁ、持ち出そうとするような輩は、俺が成敗してくれるが。
…と、思ったそのとき。