神殺しのクロノスタシスⅣ
この知らせは、すぐ聖魔騎士団にも届けられた。

シュニィや吐月辺りは、この共闘を喜んでいたが。

キュレムは、

「おめーかよ!おめーのせいでエラい目に遭ったわ畜生!」が第一声だった。

そりゃ最初に異次元世界に飛ばされた四人は、そう思っても無理ないけども。

「本当に済まなかった。この通りだ」と、あまりに珠蓮が素直に謝るので。

キュレムも、「お、おぉう…。…気にすんな…」と、引き下がるしかなかった。

良かったな。珠蓮が実直な性格で。

危うく乱闘が起きるところだった。

…ともあれ。

差し当たって、俺達の大きな頭痛の種だった原因は、解消されている。

『サンクチュアリ』本拠地にあった、あの異次元世界に通じる魔法陣は消え。

異次元世界に飛ばされていた者は、全員無事に戻ってきた。

不安要素だった、謎の男の正体も分かった。

賢者の石の封印についても、誰がこの封印を解いたのかも判明した。

あとは、本拠地だったビルを捨て、また別の場所に本拠地を移して、密かに活動を進めているであろう『サンクチュアリ』の連中と。

恐らく、『サンクチュアリ』と行動を共にしているであろう、珠蓮の弟子。

封印を解いた張本人、ミルツ・シュテインの行方を突き止める。

これが、目下の目標である。

とはいえ、とにかく聖魔騎士団の大隊長達も戻ってきたし、それによって、バラバラになっていた賢者の石の欠片も、十個揃った。

つまり、『サンクチュアリ』の切り札だった賢者の石は、こちらが奪い返しているのだ。

だから俺達がこれからやることと言えば、『サンクチュアリ』の残党狩り。

それほど急ぐ必要もないだろう、と。

個人的には、ひとまずホッと一息ついていた…。




…の、だが。


実は、そうでもないことが分かった。

と言うのも。




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