神殺しのクロノスタシスⅣ
――――――…案の定。


我らが探索魔法のプロ、エリュティアは、すぐさま『サンクチュアリ』の居所を突き止めてくれた。

『サンクチュアリ』は、言うまでもなく魔導師排斥論者の集団だ。

そして、基本的に魔導師排斥論旨は、魔導適性のない一般人が圧倒的に多い。

一般人が、エリュティアの辿る「痕跡」を完璧に消すことは、ほとんど不可能だ。

『アメノミコト』の暗殺者のように、特殊な訓練でもない限りは。

魔導師の俺達でさえ、エリュティアの目を掻い潜って逃げろ、と言われたら目眩を起こすレベルなのに。

一般人集団の『サンクチュアリ』が、逃げ切れる訳がない。

悪いな。

『サンクチュアリ』の居所を発見するなり、すぐさま聖魔騎士団は、突入の準備を完了させた。

『サンクチュアリ』は、もう賢者の石という切り札を使っているので、何らかの罠を張っているとは考えにくいが。

それでも前回のことがあるので、慎重に慎重を期し。

今回は聖魔騎士団のみならず、イーニシュフェルト魔導学院の教員達も。

つまり、俺とシルナも、シュニィ達に同行することになった。

あと、ついで感覚でナジュもついてきた。

「別にお前まで来なくて良いんだぞ?」とは言ったのだが。

「いや僕は要るでしょ。敵が自爆したらどうするんですか。被爆要員は要るでしょ」とか、アホなことを抜かしていたので。

絶対こいつを前線には出さないと決意して、突入である。

そして、俺の傍らには、シルナと共にもう一人。

そこには、賢者の石の守り人、寿木珠蓮がいた。
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