神殺しのクロノスタシスⅣ
「…」

部屋の中の異様なチョコ、そして頭の中お花畑なシルナを見て。

耐えられないと思ったのか、くるりと踵を返すイレース。

を、シルナがガシッ、と腕を掴むことで止めた。

「離しなさい、セクハラです」

「ちょっとイレースちゃん!?何処行くの!?まだ夢のモーニングチョコタイムは終わってないよ!?」

頭ハッピーチョコタイムの間違いだろ。

「天音さーん。大丈夫です?」

「う、うん…。ちょっと…あまりの匂いに、気分が…ちょっと…おえっ」

チョコレートの匂いに酔ったのか、青ざめた顔で蹲る天音を、ナジュが介抱していた。

気の毒に。ごめんな天音。

「どうしたの皆!?様子がおかしいよ!」

それはお前だろ。

「何を考えてるんだお前は?朝から呼びつけて何なんだ?何がしたいんだよ!?」

「えっ、ちょ、羽久何でそんな怒るの!?」

怒るわ。

天音が気分悪くして、嘔吐いてるじゃないか。

「むぐむぐ。匂いはともかく、味は普通に美味しいよ」

「ちょっと甘過ぎるけどねー」

「お前ら…いつの間に…?」

気がつくと、部屋の中に令月とすぐりがいて。

二人して、テーブルの上のチョコ菓子を摘んでいた。

いつ現れたんだあいつらは?全く気配を感じなかったぞ?

あぁ、もう頭いてぇ。

…とりあえず、最初にやるべきことは。

「…換気だ!!」

「あぁっ!夢のチョコレートスイートルームがっ!!」

そんなスイートルームは御免だ。
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